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変身少女のタマゴ系ライブ  作者: 葉月 優奈
十一話:綴 緑子のタマゴアイドル:前編
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夕方になり、自分は家に戻っていた。

大きな屋敷の宇野中家、そこで自分はお嬢様の部屋に居た。

しかし、お嬢様の表情が優れない。

そんな自分は努めてそばに寄り添っていた。


「お嬢様……」

「ごめんなさい、足でまといですね」

「謝ることはないです」

「でも、私がグッドの数を稼げなかったのは事実です」

お嬢様の落胆した表情が、自分も辛い。


「ライブは苦手ですか?」

「私は、ハコベやカスミンのようにグッド数を稼げません。

前にも言いましたよね、日曜に緑魔女がやってくる。

今度やってきたら……」

「はい、次にあったらおそらくベーツァの門が開くでしょう」

自分は緑魔女に言われたことを思い出した。

緑魔女は、ベーツァの門を開けるために日曜に動いていた。


日曜限定で、カクイドリを放つことでベーツァの門を開こうとしていた。

次の活動で、ベーツァの門が開く。

そうなれば全てが終わりだ。

カクイドリが放たれ、瞬く間に人はいなくなるだろう。


「カクイドリに襲われたら……人は消滅する」

「そしてそれを操れるのは、おそらく緑魔女だけ」

「どうしようもないですね」

苦笑いを見せたお嬢様。


「せっかく、あの方を好きになってもこれでは意味がないですよ」

「お嬢様……」

「でも、それを変える力が自分にはない」

「そんなことはないです」

「ありますよ、カスミンの言うとおりです」

お嬢様が、元気なく俯いた。

広い部屋に、冷たい空気が支配する。


「私はずっと考えていました、なぜ自分なのかを」

「それは……」

「私なんかより、もっとライブにうまい子がいるんじゃないかと。

このタマドルをやっている他の子が、いいのではないかと」

「そうではありません、自分は違うと思います」

自分ははっきりとお嬢様を見ていた。


「何が違うのですか?」

「自分はお嬢様だから、イースターが選んだと思います」

「それは違いますよ、私はたまたまハコベを……」

「お嬢様は変わりたいと願っていますから。

あの時も、今だって。変わろうとする女の子の見方なんですよ、イースターは」

自分は笑顔で言っていた。


「変わろうとする……」

「ライブが苦手なら、やることはわかっているじゃないですか」

「どうしてそこまで言えるの?」

「お嬢様は、奥津様が好きなのでしょう。奥津様とこれからも」

「はいっ」顔が赤くなるお嬢様。


「ならば簡単です。やることはひとつしかないです」

そんなお嬢様に、最後まで笑顔を見せていた。



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