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図書館で、緑魔女が消えた。
自分は車に戻っていた、裸のお嬢様が体育座りで後部座席に座っていた。
震えているのか、落ち込んでいるようにも見えた。
自分が車に戻った瞬間、お嬢様の視線が刺さった。
その目は、自分に泣きつくかのような弱ったお嬢様だ。
「私は何もできなかった」
「そんなことはありません」
「いいえ、私はハコベの役に立てなくて……」
「その通りよ」
そこに入ってきたのは、カスミンだ。
カスミンはいつもどおり冷静な目で、自分とお嬢様を見下していた。
「やはりあなたには無理なのよ。イースターライブは……」
「その話はやめて」
そんなカスミンの後ろから、声が聞こえた。
声の主は聞き覚えがあった。やがて車の方に声の主が乗り込んでくる。
「あっ、恵にシエル会長」
「二人共」
シエルと恵も一緒に乗り込んできた。
「あのさ、いきなり来たんだけど」
「緑魔女……ですね」
シエルは慌てた様子で、自分を見ていた。
「二人ともどうして、ここに?」
「図書館で勉強していたんだよ」
「なるほど」
「でもびっくりしたよ、いきなり緑魔女が出てくるなんて」恵も驚いていた。
「でもカスミン」
「なんだ、勝手にその名を……」
「やっとボクたちと一緒になってくれるんだね」
「その話だけど……なしだ」
カスミンは、お嬢様に険しい表情を見せた。あからさまに睨んでいた。
「お前たちも、たいしたことないんじゃないのか?」
「何を言っているの?」
「イースターライブの条件、ただ五人組めばいいものじゃない。
あたしたちは勝たないといけないわ」
「それじゃあまるで……」
「足でまとい、恵もシエルも」
最後に言い残して、カスミンは車から出て行った。