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ナデシコの衣装は、『アイドルアピール』で回復できた。
回復したけど、焼け石に水だ。
すぐにカクイドリに襲われて、衣装が裂かれていた。
三回使えるアイドルアピールも使いこなして、サビ前になっていた。
余裕のある自分は、ナデシコを見る余裕さえあった。
それでも、自分が手出しをする方法はない。
(くそっ、このままでは)
自分の頭に、緑魔女との戦いの記憶が蘇った。
自分は緑魔女とライブをした。それは四人の人間を呼んでのライブだ。
その少女の素性は知らない。
だがゲームでつながっているから、この地球の人間であるのは間違いない。
変身をしたい小さな女の子、タマドルの少女を四人集めてライブした。
その子達は、何も知らないままライブをしたのかもしれない。
結果は、自分以外は全滅した。
三体のイースターを失い、自分の持っているイースターしか残らなかった。
(あの時と同じなら、このままだとナデシコも……)
自分はまた、一人で生き残ってしまうのか。
あの時みたいに、自分を置いていなくなってしまうのか。
それを指をくわえてただ見ているだけなのか。
自分の前で、カクイドリに襲われるナデシコがいた。
そして、ナデシコの衣装が破られていく。
すべての衣装を失ったら、ナデシコはいなくなってしまう。
緑魔女の狙いは、ナデシコなのは明らかだ。
曲がサビに入っていく。サビに入れば、ナデシコはもたないだろう。
だけど、次の瞬間目を疑っていた。
(光った)そう、お嬢様が突然光ったのだ。
よく見ると、光の柱はもうひとつあった。
(カスミンも?)
そして、次の瞬間目を疑った。カスミンがセンターになっていたのだ。
ナデシコとカスミンの位置が、強制的に入れ替わっていたのだ。
入れ替わったカスミンは、不敵な笑みを浮かべていた。