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車に乗っていた自分、それからお嬢様と霞。
これは余りにも意外な取り合わせだ。
車の窓から、日曜日の四日市の光景が見えた。
「平和ですね」
「うん」撫子お嬢様が穏やかな顔で、霞に語りかけていた。
だけど霞は、ずっとうつむいていた。
それにしても、今日は割と暑いのに長袖のジャージの霞。
なぜ彼女は、ジャージ姿のだろうか。
「待って」
自分はある一箇所で停めた。それは『ドンペンホーム』だ。
ほぼ二十四時間やっている、ディスカウントスーパーだ。
なにより、ここはカスミンと出会った場所。それも先週だ。
「ここには、タマドルの筐体があるはずですね」
「ああ、ある」それに応えたのが、霞。
「少し調べてみてもいい」
「わかりました」
こうして自分たち三人は、車を降りた。
ドンペンホームは、朝なので人が少ない。