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『6月24日』
翌日、自分の部屋にはさらに一人の客が来ていた。
それはお嬢様がであった少女、奥津 霞だ。
ジャージ姿で肌を、隠している少女。
手にはカッターを持ってお嬢様を脅そうとしていたが、お嬢様がそれを阻む。
「あなたの力が必要です、助けてくれますか?」
お嬢様が声をかけたが、霞は難しい表情を見せていた。
「なぜ?」
「イースターライブをやるの?」
「緑子を助けるためです」
「助けることは……」
「助けることはできなくても、彼女のいるタマゴ王国に行くことはできます。
今、タマゴ王国は緑魔女の支配にあります。
緑魔女を倒さないと、タマゴ王国に行ける時間が限られてしまう。
もし緑子を救うのであれば、イースターライブで緑魔女を倒すしかありません」
自分の言葉に、じっと見上げた霞。
「これは、唯一あなたにしか頼めないのです」
「なぜ、あたしがタマドルだと?」
「あなたは、イースターに選ばれたのではないのでしょうか?」
「選ばれた?」
「そう、あなた以外の全てのタマドルはあなたと同じ臨海学校の班なのです」
お嬢様が続けた言葉に、霞が顔を上げた。
「ならば、救ってくれ」
「はい」お嬢様は、最後は微笑んでいた。