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みんなが帰った蔵で、自分はいつもどおりのメイド服でゲーム筺体をじっと見ていた。
このゲーム筺体は、自分がタマゴ王国に行くことができる媒体でもある。
ただ、行くことができるのは一時的だ。
そんな蔵に、メグッポとシエルを一度返すことにした。
残っているのが、お嬢様。
お嬢様は、タマドルからいつものピンクの浴衣に着替えていた。
「ハコベ、少し気になることがあります」
「どうしました?」
「タマドルのみんなを見て思ったのですが、タマドルはどうして私たちなのでしょう」
「私たち?」
「臨海学校であった五人です」
「その話は一度聞きました。恵にシエル会長、お嬢様に奥津 霞。そして最後に緑子」
「この五人が同じ班だということですか?」
自分の言葉に、お嬢様が頭を下げた。
「ですね、これは偶然ではないと思います」
「緑子という少女がよくわからないが、自分がライブして三体のイースターが閉じ込められた」
「三体」
「タマゴ王国では、自分はライブをしていた。
緑魔女のライブで、自分を守るために三体のイースターが犠牲になった。
唯一残ったイースターが、撫子お嬢様のもとにいるのです」
「でも、残りの三体は?」
「おそらくは、緑魔女に捕らえられているから彼女が開放したのか。
そこまでは正直わからないですね。タマゴ王国に行くには、イースターライブを成功させないといけないですし」
「あくまでライブですか」
「ええ、それにあの二人を見て思ったのですが」
「なんですか?」
「グッドの数が足りないです」
自分は正直に話した。
「グッドの数?そういえばいっていましたね」
「カクイドリの数は、かなりの数が予想されます。
自分が出したあの数字だって、あっているとは限らない。
もっと必要になるかもしれません、だからこそライブの成功度を上げなければいけません」
「はい、それは私も同じです」
撫子お嬢様も、暗い表情を見せた。
「私もまだ弱いですから、もっと練習しますね」
そう言いながら、お嬢様がゲーム筺体に向かっていた。