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変身少女のタマゴ系ライブ  作者: 葉月 優奈
九話:『ハコベ』のタマゴアイドル:前編
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その日の夜、自分はいつもの蔵にいた。

お嬢様に与えられた蔵は、カラフルに飾り付けられていた。

これは自分がいたタマゴ王国に、合わせたものだ。

自分の部屋は、こういう部屋だから。


そして、何よりゲーム筐体がここに置いてあった。

お嬢様に頼んで、このゲーム筺体があったのだ。

ゲーム筺体の前に立って、自分はピンク色のコンパクトを見ていた。


「ハコベ……」そんな蔵に、入ってきたのが撫子お嬢様。

いつもどおりのピンク色の浴衣。

その表情は、落ち込んでいる様子だ。


「どうされましたか?」

「あの緑魔女は何者ですか?」

「自分の世界を滅ぼした張本人です」

「あの子は、似ています」

「緑子と言っていましたよね」

「はい」撫子お嬢様は、落ち込んでいる様子だ。


「彼女はタマゴ王国を滅ぼした張本人です、なにより彼女は……」

「それがよくわかりません、彼女は緑子だと思います。私の名前も知っていました」

撫子お嬢様が珍しく主張した。

二ヶ月ほどいるけど、あまり自分の主張をしないお嬢様だ。

そんなお嬢様が、はっきり言っては食い下がらない。


「お嬢様、その緑子とは?」

「私たちが臨海学校で、一緒だった友達です」

「友達?」

「はい、緑子さんはみんなに優しい方でした。

でも、臨海学校で寄った東京で行方不明になったのです」

「行方不明……」

自分はどこか引っかかっていた。


「どういう意味ですか?」

「さあ、詳しい人が学校に来ないのでなんとも」

「詳しい人ですか」

自分は首をかしげていた。

地球の人間が行方不明になるのは、カクイドリで間違いない。

カクイドリに襲われた地球人は、タマゴ王国に連れて行かれるからだ。


「そういえば、それはいつですか?」

「一年前のちょうど今あたりです」

「そうですか」

自分はずっと考えて、ひとつの答えを出した。


「それは、もしかしたらとんでもないことを自分がしたのかもしれない」

「ハコベ?」

「自分がカクイドリの不穏な動きを見逃していなければ……すまない」

自分は深々と頭を下げた。

それは僅かな予兆があった。

タマゴ王国で、カクイドリが一時爆発的に増えた時期があった。

それの対応がうまくいかなかった自分は、カクイドリを一部ベーツァの門から逃がした頃を思い出す。


「それは、ハコベだけの問題ではありませんよ」

「いいえ、自分の問題です」

「それにしても、おかしいのは緑子です。

なぜ彼女が、カクイドリと一緒に行動しているのか」

「残念ながら、それはわかりません」

自分は、首を横に振った。


「そういえば、ハコベは知っているのですか?」

「なにをですか?」

「緑魔女の目的を?」

「ええ、なんとなくはわかります。確信はないですけど」

そう言いながら自分は、ピンク色のコンパクトをじっと見ていた。


「そういえば、それはなんですか?」

「これは女王の証です」

そう言いながら、コンパクトを開いていた。



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