表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変身少女のタマゴ系ライブ  作者: 葉月 優奈
八話:『奥津 霞』のタマゴアイドル:後編
108/159

108

撫子は、あたしに対してこんなに強く言うことがあっただろうか。

一年の時は、あまり話したこともない。

それはミーコが、いつもそばにいたからだ。

ミーコがあたしと撫子……いやほかの人間との間に通訳のようにいた。

その存在が、あたしにとっては嬉しかった。


「ないって、どうしてもそういうの?」

「ええ、緑魔女は『(つづり) 緑子』本人です。彼女は私たちの最後の敵です。

カクイドリを操る最強の敵です」

「敵って、そんなはずは」

「あなたは見たのでしょう。

彼女がカクイドリを、操ってあなたを襲ったのでしょう」

撫子の言葉に、心当たりがあった。

それでも、それを信じたくはなかった。


「あたしはただ、ミーコがやっていたこのゲームをしていただけよ」

「緑子がやっていたこのゲームこそ、その証拠。

だけどね、私たちはあの頃は知らなかった。

つい最近まで、このゲームのことすら知らなかった。

霞はいつから知っていたの?」

「あたしは一年の時から、ミーコが教えてくれたから」

「そうですか、思い入れがあるのですね」

「そうよ、あたしにとってミーコは特別。あんたなんかと違うわ」

あたしは、顔を赤くして撫子の前で叫んだ。

隣には、ハコベが静かに見守っていた。


「あなたと綴さんは、特に仲が良いことは私もわかります。

ずっと、二人で一緒にいたではないですか。

でも、そんな綴さんはみんなに優しかった」

「そうね、ミーコはとてもいい子よ。

あたしとも話してくれるし、あなたとも……わかるでしょ撫子」

「はい、綴さん大好きですよ」

撫子とは通じている気がした、笑顔を見せた。

それでも、となりのメイドがずっと大人しくあたしと撫子を見ていた。

むしろ監視しているようにさえ見えた。


「綴さんは、誰にも分け隔てなく話してくれます。

臨海学校の班でも、綴さんの存在はありがたかったです」

「ミーコはみんなを巻き込むの。あたしに、撫子……恵と班長の外人だっけ?」

「シエル生徒会長です」

「そう、シエルだったわね」

「はい、私たちはどこかみんなから離れていたから。クラスの中で浮いていた五人」

「そうね、あたしたちってどこか変わり者よね」

あたしは、臨海学校の五人の班を思い出した。

恵にシエル、撫子とあたし、そんな四人を引っ掻き回すのがミーコ。

ミーコが最も積極的で、孤立していたあたしたちをつないでくれた。


「あの……私たちは倒すつもりはないんですよ」

「知っている、恵も撫子と一緒でしょ」

「もちろん、シエル会長も。あの二人が最近一緒に行動していたのは驚きでした」

「そうね……意外だわ」


あたしたちはミーコ以外、ちゃんと会話もできなかった。

孤立した四人に、声をかけて集めて班にしたのがミ-コだ。

ミーコとあたしは、仲が良かった。


それなりに面識があったと思う。

それでも恵は、男の子っぽい容姿が災いしてあまり友達ができなかった。


「その後、外国人で浮いていたシエル会長と撫子も」

「そうですね、懐かしいです」

班を作った時が、今思うと一番楽しかったのかもしれない。


「こうして、私たちは今四人集まっています」

「ミーコじゃなくて、そこのメイドね」

「はい。よかったら一緒に私たちと踊りませんか?」

撫子があたしに手を差し伸べてきた。

縛られたままのあたしは、じっと撫子の手を見ていた。


「それって、ミーコを救うこと?」

「確証は持てません」

そして、そこに口を挟んできたのがハコベだった。


「だけど、今のままでは彼女は戻ってこない。

それに緑魔女はひとつの目的で動いています、時間がないのです」

ハコベは、そこで焦った顔であたしをじっと見ていた。

そこに、あたしは初めて彼女の感情を感じたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ