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あたしが次に目を覚ましたら、変な部屋に連れてこられた。
赤いカラフルな壁に、衣装が並ぶ。
目を覚まして、闇とのギャップにあたしは戸惑っていた。
なにより、あたしは両手と両足が縛られていた。
「ここは?」
「ようこそ、我が家へ」
撫子がピンク色の浴衣を来て、にこやかな顔を見せていた。
撫子の後ろには、見たことがある黒い服のメイド。
「我が家、あなたは……くっ」
「動けませんよ」
「ハコベっ!お前もグルだったのか」
「はい」黒いメイド服のハコベは、落ち着いた様子であたしを見ていた。
「そうかそうか、お前らグルだったのか」
「ええ、あなたを探すのに苦労しましたよ。カスミン」
ハコベは不敵な笑みを浮かべながら、あたしのアイドル名刺を見せてきた。
「ああっ、お前っ!」
あたしは、目の前であたしのカバンを漁っているメイドを見ていた。
そのまま、近づこうとするが足が縛られて動かない。
「まあ、暴れてはいけませんよ」
撫子はそう言いながら、空手の型を見せていた。
そういえば、撫子は武道全般を習っていたのを思い出した。
「あなたたち、あたしを捕まえて……」
「それは、こちらのセリフです。脅して私をどうするつもりですか?霞さん。いえカスミン」
「タマドル名刺を集める。
あたしには、どうしても五枚のタマドル名刺を集めないといけない」
「『イースターモード』ですね」
「そう、あたしはプリンセスになるわ。あなたを追放してでも」
「はい、いいですよ。やはりあなたも、同じ道をたどることになるのですから」
「どういう意味?」
「そのままの意味です」
「あなたは女王じゃないの?」
あたしの言葉に、驚いた顔をいせたのは撫子だ。
「ええっ、どういうことですか?」
「はい、自分は元は女王でしたよ。
でも今の自分にはそんな力はないし、そもそもそれは迷信だ」
「それでもあたしは取り返す、ミーコを」
「緑魔女をか?」その言葉に、あたしは睨んだ。
「あなたが言っている緑魔女はミーコじゃない」
「残念だけど、その可能性はありません」
あたしの前には、撫子が堂々と立っていた。