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変身少女のタマゴ系ライブ  作者: 葉月 優奈
八話:『奥津 霞』のタマゴアイドル:後編
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『6月23日』

あたしにとっていつもの、ルーティーンかも知れない。

腹が減ったら、近所のスーパー東友に行く。家に両親がいなければ、だいたいこうだ。

実につまらない人生を過ごしていた。

それもこれも、探し物がこの世界にない。


この生活も、三ヶ月目に突入していた。

ジャージでスーパーを歩く。夜七時ということもあって、主婦も少ない。

むしろこの時間は、客が減って快適だ。


(さて、買って帰るか)

スーパーのカゴに、ほしいものを入れていた。

裕福ではないのでお金はないから、買うものは慎重だ。


「あれ、奥津さん?」前から出てくる一人の少女。

「なに?」あたしはその声を聞いて、不機嫌な顔になった。

あたしの前に出てきたのは、ショートカットでセーラー服の女。

その少女を、もちろん知っていた。

なにより、この前にもここのスーパーで出会っていた。


「『詰草 恵』何しに来たの?」

「うん、ボクはお菓子を買いに来たんだ」

「そう」

彼女の持っているかごには、確かにお菓子がいっぱい入っていた。


「奥津さんも買い物?」

「そうよ、それ以外にスーパーに来ないじゃない」

「それもそうだね、それから……言い忘れたことがあったの」

「なに?」

「助けてくれて、ありがとう」

恵は、あたしに笑顔でお礼を言ってきた。


「お礼を言われることはないわ」

「それでも、お礼を言いたいの。それでね……あの時はまだわからなかったけど」

買い物かごを置いて、急に恵はセーラー服のポケットを探る。

そして差し出してきたのが、『タマドル名刺』。


「僕は『メグッポ』、タマドルなんだ。

まだアイドルランクは『地方アイドル』だけど、よかったら奥津さんの……」

「そうよね、あなたもそうよね」

「え?」驚いた顔を見せた恵。

「あなたはタマドルでしょ。一人で行動しているのかしら?」

「えっ、ボクは違うよ。昔の友達と一緒なんだ」

「昔の友達?」

「そう、明日も撫子に会うんだ」

「なるほど、わかったわ」

あたしは、そう言いながらあることを思い出していた。



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