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夜、あたしは家に帰っていた。
いつものジャージ姿に戻っていた。
薄暗い部屋で、じっとタマドルカードを見ていた。
新しいカードでは、あたしの『カスミン』が天使コーデを着ていた。
窓の外は、夜になっていた。
机の上には、ミーコとの思い出のアルバムを開いていた。
(イースターライブって、まるでタマドルの設定そのものじゃない)
あたしはその名前を知っていた。
タマドルで、一年に一回最強のユニットを決めるライブ大会があった。
タマドル五人一組のユニットを、組むものだ。
「迷っているようじゃな」
「なんだ、お前か」
あたしの前のカード、イースターが喋った。
「ああ、タマドルはイースターライブが最後の目的だ」
「最後?」
「誰でも究極のアイドルはいいものだろう。
そして、イースターライブを優勝したユニットの中でプリンセスが生まれる」
「プリンセスねぇ」
あたしは童話のような話を、聞き流していた。
「プリンセスになれば、どんな力も使える」
「どんな力も?」
「そう、どんな力も。お主が欲しがっている」
「ミーコを返してもらえるの?」
「無論じゃ、じゃが……」
「わかっている、タマドル五人を集めるのでしょ。あたしにいい考えがあるわ」
そう言いながら、あたしは不敵な笑みを浮かべていた。