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タマドルであれば、カクイドリを退けるためにライブをしないといけない。
それを、ミーコが見ている前で。
変わり果てたミーコは、あたしをじっと見ていた。
ミーコの表情は隠れているが、いきなりライブが始まった。
あたしの心は、ミーコが気になって仕方ない。
口が自然と動き、あたしの周りには音符玉。
(なんで、あたしが踊らないといけないの?)
あたしは、心の中で叫んでいた。
その奥ではカクイドリと、ミーコがいた。
ライブが、あたしの心と反して続く。
納得できないあたしは、踊れかった。
音符玉が触れないと、カクイドリが襲いかかってきた。
あたしの衣装が、ちょっとずつ削られていく。
スカートが、破けているし羽もかけていた。
それでも、カクイドリに襲われて痛い。
痛いが、痛みは思いのほか感じられなかった。
(これもエンジェルコーデの、強さなのだろうか)
そんなことを考えながらミーコを見ていた。
いつもどおり緑色のフードをかぶるミーコ。
曲がだんだん激しくなる、このあたりは一緒だ。
隣のメイドは、黙々と踊っていた。
(なんで平然と、踊っていられるの?)
あたしはわからなかった、だけど今あたしは前に出ることができない。
あたしの足元には、出られない枠があった。
この枠の外から、あたしは出ることができない。
前にはミーコがいるのに、口が勝手に動いて話すこともできない。
そんな中、サビが終わって曲が間奏に入った。
メイドの女はあたしの方を見ていた。
「踊らないの?」
「踊れるわけがない」
「それでも、あなたは踊らないといけないです」
「なぜ?」
「あなたは、タマドルだからです」
その言葉に、あたしは眉をひそめた。
「それと友達と戦うことに、何の意味があるの?」
「友達ですか?」
「そうよ、あたしの……」
「踊れ!今はそれだけだ」
そのメイドにあたしが何かを言おうとしたとき、口が勝手に動き始めた。