カツアゲ脱出作戦。
「おい、早く金を出せ。」
「今月は・・・大きな出費があって・・・」
「はいはい、嘘つきは泥棒の始まりですよ~」
如何にもカツアゲと言う場面だ。
「本当に今月はピンチで・・・」
「てめぇ!いい加減に・・・」
「そこのあなた方!」
カツアゲの中の一人が殴りかかろうとした時、俺とファンナは乱入した。
「何だテメェら!!」
「この人です!この人が出費の原因です!」
俺の思い通りに暴露してくれた。
「と言う事は何か?お前はこいつの代わりに・・・」
「払いに来たんだけど?」
こう言って、俺は袋を取り出した。
「おぉ!金だ金だ!」
「待て、袋の中身は金じゃ無いかもしれない!」
「だったら袋を振って、中身も見せようか?」
俺が袋を振ると、ジャラジャラと言う音がした。そして袋の中身を開けると・・・
「おぉ!!間違いない、金だ!!」
カツアゲどもが俺が持っている袋を取ろうとしたが、まだ取らせる訳にも行かない為、俺はヒョイと上に上げた。
「おっと、タダで渡す訳には行かないな・・・」
「分かってる、コイツは解放する。」
「じゃあ同時に交換しよう。」
カツアゲの一人が、前に賭けをした中の一人を連れて来た。
「じゃ、一二の三で同時に交換だ。」
「OK!」
「「一、二の、三!!」」
俺は袋を投げた。だが・・・
「ハハハ!誰が返すかっての!金は俺達の物だ!」
「・・・あぁ、もう駄目です!」
ファンナが諦めた様に目を瞑ったが、これは俺の計算通りだ。
「良し良し、ちゃんとした金・・・何でお前、サングラスをかけたんだ?」
またも計算通りにカツアゲの一人が袋を開け、カツアゲされていた女子の一人が目を瞑った。
「まさか!お前ら、急いで目を瞑って・・・」
「もう遅い!」
俺はスイッチを取り出し、ボタンを押した。
「「「「ぐわ、目が・・・」」」」
すると袋の中身が光り、カツアゲどもの目が眩んだ。
「今だ、逃げろ!!」
目を押さえていた女子が脱出して、俺達は全速力で逃げた。
「助かった・・・ありがとうございます。」
「いやいや、お前みたいな可愛い奴を助けるのに感謝なんかいらねえよ。」
「え!?」
俺の言葉に助けた女子が顔を赤くした。
「イッサさん、今の可愛いは・・・」
「社交辞令に決まってるだろ。」
「やっぱりですか・・・」
ファンナが小声で質問して来たので、俺も小声で返事をした。
「そんな事より、あのカツアゲ共は何なんだ?」
「あ、そうでした!ずっと前から私を虐める人達なんですよ・・・」
「それは酷いです!そんな時はあの人たちから逃げて・・・」
「駄目だ、それだとまた別の奴がターゲットにされる。」
「じゃあどうするんですか?」
「ここは・・・死神に頼もう。」
「「死神?」」
暗くなった頃、俺は宿に戻った。
「おぉイッサ、僕のぎっくり腰は大分良くなったぞ・・・」
「そうか、だけど俺は忙しいんだ。」
「忙しいって何に?」
「死神に依頼をするんだよ。」
そう言いながら俺は、黒い服を着て鎌を持った。
「何で依頼をするのにお前が・・・」
「そこには触れないでくれ。」
そして、俺は再び外に出た。
「クソ・・・あいつめ、今度会ったらボコボコにしてやる。」
暗い夜道、閃光コインを喰らわせた連中が歩いている。
「こんばんは、夜の星空は綺麗ですね・・・」
こんなセリフを言いながら、俺は堂々とカツアゲ共の前に現れた。
「テメェ!おかしな格好してノコノコと・・・」
カツアゲ共が全員俺に襲い掛かったが、モンスターに比べれば大したことないので軽く避けて、カツアゲの一人の後ろに回り込んで鎌を首に当てた。
「僕は死神ですから、喧嘩は売らない方が良いですよ・・・」
「・・・分かった、鎌を下ろしてくれ。」
俺は鎌を下ろした。
「それで、俺達に何の用だ?」
「僕は話をするのが好きでしてね、ですから話をしようと思いまして。」
「分かった、話をしよう。」
「まず、貴方は自分の親をどう思ってますか?」
「何故、そんな事を聞くんだ?」
「死神には親がいないんですよ・・・」
今の俺の言葉は、本当でもあり嘘でもある。
「ハッキリ言えば、俺達は親をクソだと思ってる。」
「何故ですか?」
「毎日の様にお前はクズとか、お前なんか産まなきゃ良かったとか言われ続ければ誰でもクソだと思うさ・・・だから捌け口が俺達より弱い奴しかいないんだ。」
こいつらは、俺が閃光コインを喰らわせた奴だと気付いててその上で愚痴を言ってるんだろう。
「そうですか・・・大変ですね。」
「話はこれで終わりか?終わりだったらとっとと消えてくれ。」
「分かりました、死神は静かに消えます・・・」
そして俺は、カツアゲグループの前から魔法のアイテムで消えた。