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俺とファンナは買い物に出かけたが、途中で虐められそうな奴を見つけた。

 最悪の一日の翌日、俺はファンナの住む寮に向かった。


 「おや、あんたかい。」


 「婆ちゃん、ファンナはいるか?」


 「昨日は葬式やら今後についてやら大変だったそうだけど、あんた達とパーティだから無理を言って戻って来たんだとさ・・・」


 ・・・心が痛むな。


 「ところで・・・もう一人はどうしたんだい?」


 「それがですね・・・」




 寮母と話をした後、俺はファンナの部屋の前まで来た。


 「ファンナ、出て来いよ。」


 「少しお待ちください・・・」




 「お待たせしました・・・」


 返事をして数分後、疲れた顔をしたファンナが出て来た。


 「あの・・・ファンナ。」


 「何ですか?」


 「少し、質問しても良いか?」


 「・・・何ですか?」


 「お前は・・・お前の親父を恨んでいるか?」


 ファンナは驚いた顔をした。


 「お前の親父から聞いたんだ、お前をシスターにしてやりたかったって。」


 「・・・どう言えば良いのか分かりません。恨んでもいますし、悲しんでもいます。」


 「そうか・・・」


 俺は何を聞いているんだ、答えなんか出せる筈も無いのに馬鹿らしい・・・


 「ところで、ケンさんはどうしました?」


 「あぁ、それが・・・」




 俺達が泊まっている宿で出かける準備をしている時・・・


 「あ、いけない。」


 俺が脱出のオーブを落としたんだ。


 「おい、気を付けろよ。」


 それでケンが拾おうとして・・・


 「うぐっ!!」


 ケンの腰からグギッと言う音が聞こえたんだ。


 「ケン・・・もしかして、ぎっくり腰か?」


 「そう・・・みたい・・・だ・・・」




 「と言う訳で、福引の景品の薬と食べ物を近くに置いて休ませた訳だ。」


 「フフフ・・・ケンさん、気の毒ですね。」


 「全くその通りだ。」


 「それで、今日はどこに行きますか?」


 ファンナは明るさを取り戻したらしい。


 「今日は俺と一緒に買い物にでも行こうぜ。」


 「え!?二人っきりで!?」


 「まぁ、そう言う事になるな。」


 「そんな・・・でも・・・」


 あれ、なんで顔を赤くしてるんだ?


 「気分転換になると思ったが・・・嫌だったか?」


 「いえ!別に嫌ではありません!」


 「だったら行こうぜ。」


 「ひゃ、ひゃい!」


 なんで噛むんだよ・・・




 「あの!まずはどこに行きますか!?」


 「まずは・・・服でも買いに行くか。」


 「はい!行きましょう!行きましょう!」


 だから何でそんなに慌てているんだよ・・・




 「着替え終わりました!」


 「そうか、だったら見せてみろ。」


 服屋の試着室のカーテンが開いた。


 「どうでしょうか?」


 「うーん、微妙だな。俺の方は?」


 「凄くかっこいいと思います!」


 「良し、買うのはこれで決まりだな。」


 現在、俺達は試着とお互いの評価をやっている。


 「それにしても、お前は綺麗だよな・・・」


 「え!?」


 「いや本当だよ、顔とかピンクの髪とかスタイルとかも完璧だ。」


 「そんな・・・照れますよ・・・」


 「もちろんこれは社交辞令だ。」


 「だったら黙っててくださいよ!」


 ファンナが頬を膨らませて怒ってしまった。


 「じゃあ俺はこれを買って来るから。」


 怒るファンナから逃げて、俺は会計へ向かった。


 「会計をお願いします。」


 「はい、500Kになります。」


 俺は500Kを払った。


 「ありがとうございます!ウフフ・・・」


 「何がおかしいんですか?」


 「いいえ、フフフ・・・」


 なんだ?おかしな店員だな・・・




 「ファンナ、そのスパゲッティは美味しいか?」


 「はい、とっても美味しいです。」


 服屋から出た俺とファンナは今、昼ご飯を食べている。


 「それにしても、ここに来るとあいつらとの賭けに勝った優越感が何度でも蘇るな・・・」


 「私がいなければあの人達に反故にされたでしょうけどね。」


 「分かってるって、お前には感謝してるから。」


 「えへへ・・・」


 「もちろん、これも社交辞令だ。」


 「またですか!」


 いかん、またファンナを怒らせてしまった。


 「ごめん、お詫びに俺のカレーを一口あげるから。」


 「え!?」


 「あれ、カレーは嫌いか?」


 「とんでもありません!私の大好物です!」


 「だったら一口・・・あ、俺が口を付けたカレーなんか嫌だよな。」


 「いえいえ!私は別に・・・」


 「無理しないで良いよ、俺が悪かった。」


 俺はファンナにあげようと思った一口を自分で食べた。


 「・・・」


 「何だよ、さっきのは社交辞令じゃないぞ。」


 「いえ・・・そう言う訳では・・・無いんですが・・・」


 急に歯切れが悪くなったな、どうしてだろ?


 「あれ、アイツは・・・」


 ふと、俺が窓の外を見ると見覚えのある女子が数人の男子に連れて行かれる場面が見えた。


 「間違いない・・・この前、俺と賭けをした連中の一人だ。」


 「え、どれどれ・・・確かにそうですね。でも、どうして数人の男子に連れられているんでしょう・・・?」


 「そんなの虐めか、強姦に決まってるだろ!」


 「それは大変です!すぐに止めさせましょう!」


 俺とファンナは、カレーとスパゲッティを置いて会計を済ませて店を後にした。

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