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さてと・・・情報収集を始めよう。

 「ようイッサ、福引は・・・大収穫だな。」


 「その通りだ、ケン!」


 俺はケンにピースをしたが、頭の中ではファンナを旅に同行させない作戦で一杯だった。


 「イッサさん、丁度おやつの時間ですね・・・」


 「おやつの時間だから俺が福引で手に入れたお菓子が欲しいと?」


 ファンナが首を縦に振った。


 「良し、お菓子を食べるぞ!」


 「「イエ―イ!」」




 ファンナが呑気におやつを食べている今、俺は作戦に移る事にした。


 「ケン、この城下町にはなんで教会が無いんだろうな?」


 「そう言えば・・・なんでだろうな?」


 ケンは作戦の全貌は知らないので、何気ない質問だと思っているだろう。


 「この城下町には昔から教会が無いんですよ。」


 ファンナが嘘の説明をした。


 「どうしてですか?」


 「昔は教会が一つだけあったんですけど、当時の教会の院長が悪霊に取り付かれて、その悪霊を恐れた王様が教会を無くしたんです。」


 「なるほど・・・悪霊が二度と来ない様に教会はそれ以来、新しく作る事は無くしたと。」


 嘘だ、本当は一人の父親のワガママだ。


 「おい、おやつの時間はここまでにしてギルドへ向かうぞ!」


 「はーい!」




 俺達は今、ダンジョンの中にいる。目的はモンスターを倒す為だ。倒してどうするのかと言われれば、この世界ではモンスターを倒せば倒すだけ宝箱が手に入り易くなる。つまり次にダンジョンに入る者が宝箱を手に入れればそれだけアイテムが沢山手に入ると言う事になり、ギルドの納品依頼がこなせる様になる。ちなみにギルドは全てのダンジョンの情報が分かる為、モンスターを倒した証拠なんて容易く証明出来る。ご都合主義だが、異世界だからで済ませておこう。


 「ケン、そろそろ二階に降りたいぞ。」


 「イッサは脱出の石を一つ持ってるから降りても良いとは思うけど・・・でも危険だからな・・・」


 「大丈夫ですよ、イッサさんは吸収魔法を使えますし二階の敵なら負けませんよ。」


 「・・・まぁ、二階に行っても大丈夫かな?」


 ケンが二階に行く事を許可した為、早速俺は二階に行く事にした。




 「「「助けてー!!」」」


 二階に降りて数分、俺達は中ボスの群れに出くわしてしまった。俺は吸収魔法を使えるので二階の敵に負けないとファンナが言ったのだが・・・


 「だけど魔法が使えないフロアに出ちゃったんだよな!!」


 「私も魔法が主体ですし!!上り階段も見失いましたし!!」


 「武器で戦えるのは僕だけだけどこの大軍を僕一人で捌ける訳が無い!!」


 と言う訳で、今の俺達は戦力が激減している。


 「ケン!!階段を見つけたぞ!!」


 「でもあれは下り階段だろ!!上り階段を探さないと・・・」


 「今はそんな事を気にしている場合じゃない!!三階に行って魔法が使えるフロアに出る事に賭けるんだ!!後、脱出の石は最終手段に取っておく!!」


 「分かった!!全員下り階段へ!!」


 俺達は階段を降りようと思ったのだが・・・


 「キャッ!」


 「どうしたファンナ!!」


 「足を挫きました・・・」


 「しょうがないな・・・俺がおぶってやるよ!」


 「え、でも・・・」


 「階段はすぐ近くだ!いくら俺が運動不足だからってこの位の距離ならおぶって行ける!!」


 俺はファンナをおぶってケンと一緒に階段をかけ降りた。




 「やれやれ・・・三階が魔法を使えるフロアで良かった・・・」


 「私の回復魔法も使える様になります・・・」


 「俺の吸収魔法も使える・・・」


 俺達は、散々走ったので疲れ切っていた。


 「あそこに宝箱があるぞ・・・ケン、鑑定を頼む・・・」


 「分かった・・・えっと、鍵は無し。」


 「じゃあ開けよう・・・箱の中身はなんでしょね・・・」


 「「なんでしょね・・・」」


 俺は宝箱を開けた。


 「何・・・この石・・・」


 「あぁ保呪石だよ、魔法を溜めてる事が出来るんだ・・・壊れたら溜まっていた分だけの魔法がその場に放出する・・・」


 「そうか・・・俺から提案があるんだけど、もう疲れたから脱出しない・・・?」


 「賛成だ・・・」


 「私もです・・・」


 全員一致で脱出の石を使う事にした。俺は脱出の石を壊そうとしたのだが・・・


 「どうしたんだ・・・?全く壊れないぞ・・・?」


 更に力を入れるが、脱出の石は壊れない。


 「俺の腕力じゃ無理みたいだ、ケンが壊してくれ。」


 「おかしいな・・・力を入れれば自動的に壊れる筈なんだが・・・」


 ケンは俺から脱出の石を受け取り、壊そうとしたのだが・・・


 「あれ・・・全然壊れないぞ?」


 どうやらケンでも壊せないらしい。


 「使い方が間違っているんじゃないんですか?」


 ファンナが、脱出の石が壊れない理由を提示した。


 「間違っているとは言っても・・・これは脱出の石で間違いないんですけどね・・・」


 「もしかして、これは壊れない脱出の石とかじゃないか?だから壊そうとしても壊れない。」


 「壊れない脱出の石とか、どうやって使えば良いんだよ・・・」


 「とりあえず、俺が吸収魔法を使ってみる。」


 俺は脱出の石に手をかざして力を入れた。


 「なんだ!?何かが頭に入って来るぞ!」


 「それは呪文を覚えた証拠だ!頭に入った呪文名を叫べ!」


 「えーと・・・エスケープ!!」


 その時、目の前には草原が広がっていた。


 「脱出成功だ!良くやったぞイッサ!」


 「ありがとうございますイッサさん!」


 「どういたしましてケン、ファンナ!」


 俺達は輪を組んで喜んだ。


 「さてと、今日は帰るぞ!!」


 「「異議なーし!!」」

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