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ランダムダンジョンは結構楽しいな。

 朝になったので、俺とケンはラースファリーを目指して旅を続ける事にした。


 「・・・ん?ケン、あれはなんだ?」


 俺は洞窟を見つけた。これは山の中なら珍しくもない物だが、この洞窟は草原のど真ん中にあってしかも中に下り階段があるのだ。俺にとっては珍しいにも程がある。


 「あぁ、あれはランダムダンジョンだな。」


 「ランダムダンジョン?」


 「この世界にはあんな風に下り階段がある洞窟が毎日色々な所に出て来てな、洞窟の最下層には強い敵がいるけど倒せばアイテムが手に入るんだぞ。」


 「アイテム!それってレアな物か?」


 「まぁ運が良ければレアなアイテムは手に入るけど、日用品とか玩具とかも出て来るな。」


 「なんだよ、夢が無いな・・・」


 「世の中そんなもんだよ、折角だから入ってみるか?」


 「まぁ、暇つぶしには丁度いいか・・・」


 こうして俺達は、ランダムダンジョンの中に入る事にした。




 「おぉ・・・綺麗だな・・・」


 ランダムダンジョンの中は、王城の中の様だった。


 「王城とは珍しいな、大体は森とか草原とかなんだけど。」


 「なるほど、つまりダンジョンの中の景色はダンジョンによって変わると言う訳だな。」


 「そう言う事だ。でも気を付けろよ、どんな景色の中にでもモンスターは出て来るから。」


 やっぱりかよ、王城のイメージが崩れるな・・・


 「ケン、あそこに宝箱があるぞ。」


 「待て、トラップが仕掛けられているかもしれない。ここは僕に任せておけ。」


 そう言ってケンは、宝箱を調べ始めた。


 「・・・トラップは無い様だな、開けても大丈夫だ。」


 「そうか、だったら俺に開けさせてくれよ。」


 俺は興奮しながら宝箱に手を掛け、そして開けた。


 「・・・なんだこれ、宝石か?」


 「いや、それは脱出の石と言ってダンジョンで壊すとダンジョンの外へ脱出できるアイテムだ。」


 「なんだよ、ただの消耗品かよ・・・」


 「消耗品でも一つは持っておくと役に立つから良いだろ。」


 「それもそうですね・・・」


 俺は脱出の石をポケットに入れて、ダンジョンの探索を再開する事にした。




 しばらくダンジョンを歩いていると、下り階段を見つけた。


 「おっと、止めた方が良い。」


 俺は早速降りようとしたが、ケンに止められた。


 「何で降りちゃいけないんだ?」


 「二階からはモンスターも強くなるし、ダンジョンの構造も複雑になる。だから初心者は行かない方が良い、迷っても知らないぞ。」


 「それじゃあ最下層にいる強い奴に会えないじゃないかよ。」


 「まぁ慣れるまで我慢だな、それに暇つぶしだから会う必要も無いだろ?」


 「そうですか・・・分かりましたよ・・・」


 俺は階段を降りるのを止めて、一階を探索する事にした。




 「箱の中身はなんでしょね~?」


 「・・・」


 「ケン、俺がなんでしょね~?と言ったらお前もなんでしょね~?と言うんだよ。」


 「はいはい、分かったよ。」


 「ではもう一度・・・箱の中身はなんでしょね~?」


 「なんでしょねー」


 「もっと元気に!」


 「なんでしょね~?」


 ケンが掛け声を言ってくれたので、俺は宝箱を開けた。


 「・・・巻物が出て来た。」


 「どれどれ・・・あぁ、これは魔法の巻物だな。これを開いて巻物に書いてある呪文を唱えると、巻物が反応して魔法にしてくれるんだ。ちなみにこれは魔力回復の呪文だ。」


 「なるほど・・・お前は魔法を使えるか?」


 「使えるけど、この巻物では僕の魔力は少ししか回復しないな。でも初心者の魔力ぐらいなら全快するから売った方が良い。」


 「これ、売ったらいくらだ?」


 「魔力回復が出来て、初心者の魔力が全快となると・・・400Kと言う所かな?」


 Kと言うのはこの世界のお金の単位だ。


 「400Kで何が出来る?」


 「パンと牛乳が十日分ぐらい食えるかな?」


 十日分で初心者一人の魔力全快か・・・売るかどうか迷うな・・・


 「あ、パンと牛乳で思い出したんだけどお前朝ご飯食べて無かっただろ。」


 「そう言えば食べてないな・・・でも良いよ、お腹空いて無いし。」


 「昨日の晩御飯も食ってないのに?」


 「多分俺の吸収魔法の所為かな?それでお腹が減らないんじゃない?」


 「そう言われればそうか、まぁ食費が掛かんないから良いや。」


 「俺も食べる手間が省けるから良いや。」


 「まるでグータラだな・・・」




 それから程なくして、俺とケンはダンジョンを出てラースファリーの城下町に向かうのを再開した。相変わらずモンスターはたくさん出て来たが、俺とケンの敵では無い。


 「大分歩いたけどまだ見えてこないな・・・おいケン、方向はこっちで合ってるのか?」


 「ちゃんと地図で西にあるから合ってるよ。」


 「確かにそうだけど・・・心配だ。」


 「良し、少し休憩してボードゲームでもやるか。」


 「そうだな、それが良い。」




 「勇者をここに置く。」


 「逃げ場なし・・・僕の負けだ。」


 ボードゲームは俺が勝った。


 「イッサ、そろそろ歩くのを再開するぞ。」


 「面倒くさいな・・・城下町まで一瞬で行けるアイテム無いのかよ・・・」


 「あるけど、高いから買えないぞ。」


 「やっぱりそんな便利なアイテムは高いよな・・・」


 仕方なく俺は、地道に歩く事にした。


 「いつになったらラースファリーに着くんだろうな・・・」

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