RPGと音楽は世界の娯楽だな。
蝶繭店で、俺はショタじゃ無くてロリと賭けをやっている。内容はラースファリーを目指している最中にケンと良くやっていたボードゲームのRPG。略称はロード・パーティ・グランドだ。このボードゲームはデッキが王国と勇者と魔王の三種類がある。駒は王、姫、勇者、戦士、魔法使い、魔王、四天王など種類があり、機動性や相性が存在する。例えば勇者は斜めや前後に障害が無い限り好きなだけ移動できるが、姫に攻撃出来ない。ただし魔王には無条件で勝てる。戦士は前に幾らでも進めるが、戻れないなど色々ある。とにかく、俺はロリとRPGをやっているのだが・・・
「「お前、強すぎだ!!」」
お互いが強い為、実力が拮抗していて中々勝負が決まらないのだ。
「ここは・・・ドラゴンで姫を強襲!」
「それならこっちはドラゴンキラーの構えだ、次でドラゴンを倒す!」
「その間に私は四天王の奥義の準備をする。」
「クソ!これじゃあ板挟みじゃないか・・・どうすれば良いんだよ。」
これは長期戦になりそうだ・・・
「良し、これで俺の勝ちだ!」
「この私が・・・負けた?」
そして一時間、ようやく決着がついた。
「イッサが勝ったから約束通り石版は貰うぞ。」
「ぐ・・・仕方ない、持ってけ。」
「「よっしゃ!!」」
こうして俺達は、念願の石版を手に入れる事が出来た。
「早速オーブをはめろ、イッサ!!」
「分かった、今ポケットから出すからな・・・」
「なんだ、お前らはオーブを持ってたのか。てっきり売るのかと思ってた・・・」
そして俺はオーブを取り出し、震える手で石版にはめた。
「お、店の外に出た!」
どうやら、成功したらしい。
「なんか俺達、食い逃げしたみたいだな・・・」
「大丈夫だ、僕たちは何も注文していない。」
「それもそうですね・・・さてと、用も済んだしギルドに行って他の依頼を探そう。」
そして俺達は、ギルドへ向かった。
「いやはや、今日も儲けたな~っと・・・」
そう言いながら、俺は欠伸をした。
「イッサ、あそこで誰かが殴られてるぞ。」
ケンが指さす方向を見ると、高校生ぐらいの女子数人が子供一人をタコ殴りにされていた。
「どうする?助けに行くか?」
「いや・・・音楽の感想を聞きに行こう。」
「・・・は?」
「お前!私達をバカにして、覚悟は出来ているの!?出来ているなら死ね!!」
いけないな、仮にもお嬢さんがそんな口調で話すなんて・・・
「死ね!死ね・・・なに、この音色は・・・?」
お嬢さんたちを落ち着かせる為に、僕は得意の音楽を披露する事にした。僕は死神だが、音楽や平和が大好きだ。何故、こんな僕が死神なのか昔から不思議に思っている。
「それにしても良い音色・・・これは笛ね、誰が演奏して・・・」
「ちょっと待て、アイツは確か・・・」
僕は数人のお嬢さんと少年の前まで行き、そしてフィナーレに入った。お嬢さん達も、少年も僕の演奏を聞き入っている。その事に、僕は無上の喜びを感じている。だが、僕の曲はこれで終了だ。
「そこのあなた方、僕の演奏・・・どうでしたか?」
「ふざけてるの!?私達に大損害を与えておいて!!」
「そんなローブを着て、私をからかいに来たのか!?」
なんでだろう、お嬢さんたちと少年が怒っているぞ・・・
「僕の演奏・・・駄目でしたか?」
「そんな物はどうでも良いでしょう!?」
「そうだ!演奏なんかどうでも良い!」
どうでも良い・・・?僕の大好きな物がどうでも良い・・・?
「ハァ・・・初めて会った人から感想も貰えないなんて、ちょっと傷付くな・・・」
「初めてじゃないでしょう!?蝶繭店で私達と貴方は賭けをしたでしょう!?」
「私ともRPGをやったぞ!!」
「すいません、貴方達は僕の他に死神を見た事があるのでしょうか・・・」
「いい加減に・・・」
「待て、もしかしたら別人かもしれない。それに感想ぐらい言ってやっても良いんじゃないのか?」
良かった・・・少年は良い人だ。
「・・・貴方の演奏は、とても心に響きました。」
「私も、今まで聞いたどの演奏よりも凄かったと思う。」
「良かった・・・ありがとうございます。」
僕は今、純粋に嬉しいと思ってる。
「では、僕はこれで失礼します。」
「「「「え!?」」」」
「なんでしょうか・・・僕は演奏を聞いて欲しかっただけで、喧嘩を止めに来た訳では無いのですが。」
僕の言葉を聞いて、全員何も言わなくなったので僕は立ち去った。
「それで、イッサは一体何をして来たんだ?」
「ケン、俺は弱い奴を虐める奴は無くならないと言う事だけは確信しているんだ。」
「・・・それだとあいつはどうなるんだよ。」
「だけど、あいつはそんな事は気にしてないだろう。ああ言うタイプは未来で必ず復讐できる。」
「だったら僕たちが口を出す事は・・・」
「でも、やっぱり心のどこかで傷付いているんだよ・・・だから俺は、一夜限りの旅をさせてやろうと思う。」
そして俺達は、準備を始めた。




