4/6 味伝奇前
鯖江は『味伝奇』の店の前までやってきた。
別に『味伝奇』事態に用はない。
ジュースを校庭にいた人数分買う必要があったので、自動販売機に行く必要が鯖江にはあった。その一番近い自動販売機が『味伝奇』の店の前にあった。
ただそれだけのことだ。
「おや、鯖江ちゃんだったけ?お昼にはちょっとはやいと思うけどね」
店ののれんをかけていた店主のおじさんが声をかけてきた。
「ううん。ご飯を食べ手に来たんじゃなくて、ジュースを買いに来ただけ」
瑠璃から渡された赤い財布を店ながら鯖江は言う。
「ああ。そうか。じゃあ持って帰りやすいようビニール袋を用意してあげよう」
言ってオヤジは店内に引っ込む。
「さて何を買おうか」
イロナは紅茶でいい。当人から指定があった。
地面に寝ている男子生徒はビタミン飲料を所望だ。
自分は緑茶系にしておくか。
あ、瑠璃さんの注文聞くの忘れてた。
「やっぱ紅茶かな?」
「水だ」
『味伝奇』のオヤジがそう呟いた。
「うーん。ペット水か。まぁそれが一番無難かもね。じゃあそれで」
「じゃなくて鯖江ちゃんあれ!」
『味伝奇』のオヤジが青空を指さす。
学校の校舎と同じくらいの高さに、ST-3が浮かんでいるのが見えた。
巨大な水柱に捕まれて。




