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4/6 (土曜)朝 快晴

 目を覚ました鯖江は、部屋の中が暗いことに気づいた。

 そして、その理由がカーテンを閉め切っている事にも気づいた。

 反射的に目覚まし時計を見る。九時を過ぎている。


「ああ。そうか。今日は土曜か。寝よ」


 布団をかぶりなおそうとする。いやいくらなんでも眠りすぎだろ。

 頭の中でもう一人の自分の声がする。煩い黙れ。私は眠いのだ。

 教会の宗教画の前で愛犬と共に凍死する牛乳運びの少年のように眠らせてくれ。

 ふと部屋の反対側にいるはずのイロナを見る。いない。


「あれ?」


 ベットの毛布は綺麗にたたまれている。どうやら出かけているらしい。

 部屋の中央にある丸いちゃぶ台にはハムとレタストマトのサンドイッチ。そしてお湯のポットとティーカップ。

 カップのそばには紅茶。緑茶。インスタントコーヒーが置かれ、


『朝食を御用意しておきました。お好きな御飲物をお召し上がりください』


 という書置きが残されていた。


「ふむ」


 ちゃぶ台の上には他にもある。小さなベルである。

 鯖江はベルを手に取り、鳴らしてみた。

 突如天井が開き、舞い降りる暗い影。


「お待たせいたしましたお嬢様」


 執事の紅英ある。


「おや?イロナお嬢様は?」


「そのイロナがどこに行ったか聞きたいんだけど」


「本日のご予定は知っております。ですが私が言うとでも?」


 鯖江は執事の足を掴むと、窓を開けて逆さづりにした。


「イロナ様は学校に行かれました」


「学校?今日土曜で授業ないでしょ?」


「そこまでは存じません」


「そっ。ありがとう」


 鯖江は紅英の足を離してやった。


「あぁ~~~~らぁあああ~~~~~~~」


 鯖江は窓を占めると、インスタントコーヒーと共にサンドイッチを頂くことにした。


「ふむ。学校ねぇ」


 何しに行ったんだ。あのお姫様は。

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