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第三話.初戦闘

「さてと。では、ぼくと杉山君が前線に立つ、ということで、あと、神谷さん!」


 そう言って御木本は三番目にステータスが高い神谷を呼ぶ。


「なに?」


 神谷はつまらなそうにそう言ってイライラするようにため息をついた。


「ほかの人とのステータスの確認等はやったかな? 実はきみのステータスはここにいる中で三番目に高いんだ」


「で?」


「ぼくと杉山君が基本的に前線にたつつもりだけど、君もそこに交じってほしいんだ」


「なんで?」

「なんでって?」


「だから、なんでわたしがあなたたちと一緒に闘わないといけないの」

 と、まるで当然のように神谷はそういう。


「みんなで協力しないと……」


「わからないかな。委員長さん。わたしは、別にこのクラスと仲良くしようと思っていないし、今までも思ってこなかった。現に……。わたしはあなたの名前だって把握していないの」


 なるほど。たしかに神谷はクラスでは浮いていていつも一人だ。


 顔も整っていてすごく美人だから、少し愛想よくすればすぐに友達なんてできそうだけど、どこか周りとかかわりたくないという空気を痛いほど出していて、結果的にいつも一人でいる。だがいじめられているというわけではなく、誰も彼女にかかわろうとしないのだ。というか彼女をいじめようものなら、なにか、まあ反撃されるだろう。


「というわけで、なるほど。ほかの人のステータスは把握していないけれど、ありがとう。わたしのステータスはなかなかに強いもの、らしいわね。つまりそれは一人で生きるに十分足る力ってこと。だとしたらわたしはわたしが生き残ることだけ考える。ほかの人間のために、前線に立つ気は、ない!」


 というわけで取り付く島もないようだ。


「お……おい」


 拓哉はつぶやくように声を絞り出す。


「なんだ、赤神?」


「敵だっ! あの通路の向こう!」


 拓哉の固有スキル広域検索の範囲にそれが示される。



 拓哉の声でクラスメイト全員に緊張が走る。


「拓哉、敵は何体だ?」


 茜の手を引きながら駆け寄ってきた坂上がそう聞く。


「一体だ。まだステータスとかは感じ取れない……」


「ハハ。とにかく。まずは雑魚一体ってことだろ? 御木本、やろうぜ」

「そうだね。とりあえず闘っていかなきゃ生き残れないんだ」


 そう言って杉山と御木本が前に出る。その先。現れる。


 それは体長2メートルほどの怪物だった。気持ちの悪い緑色の肌をした、鬼? ゴブリン? そう言った様相。


「赤神君、敵のステータスは?」


「あ、ああ!


 テ・トロール

 レベル188

 HP:3310

 MP:54

 攻:1055

 防:982

 魔:21

 賢:102

 SP:251

 HIT:221

 AVO:314


 特殊なスキル、魔法などは使用しないらしい!」


 強いが、二人のステータスなら渡り合えなくもないだろう。さらに二人には固有のスキルがある。


「行けるな。戦おう!」

「ああ!」


 御木本と杉山がそのモンスターに向かって躍り出る。



「行くぞ! 『全能強化』」

 杉山がそう言った瞬間、ぐんっと杉山の軌道能力がアップする。素早さのステータスを補正したのだ。


 そしてテ・トロールの首元を掴みあげる。そして、『全能強化』の補正を攻撃力に加える。



「はああああああああああああああああっ!」


 杉山が思いっきりテ・トロールを殴りつけると、その巨体が空に浮き上がる。



「でかした。杉山君!」


 そう言って御木本が空中に浮かびあがるテ・トロールのもとへと向かう。


「『無限神撃』」


 御木本の固有スキル。『無限神撃』一度の攻撃を敵にクリティカルさせたとき、その回数を、自身のMP分倍増させる。


 つまり50のMPを消費すれば、50回分のダメージを与えられるのだ。


 御木本のステータスは、


レベル100

HP:2210

MP:414

攻:355

防:222

魔:341

賢:147

SP:351

HIT:321

AVO:134




 つまり最大で、400回以上の連撃が可能なのだ。


 御木本のこぶしがヒットした瞬間、モンスターの体は砕け散る。



「やったぜ!」


 その瞬間、クラスメイト達が沸き立つ。まだ一つ目の勝利とはいえ、モンスターを無傷で倒すことができたのだ。


 だが、御木本だけは顔色が優れなかった。


「どうしたんだよ、御木本」


「……ぼ、ぼくのステータスを見てみればわかる」


レベル132

HP:2873

MP:352/745

攻:532

防:355

魔:341

賢:147

SP:491

HIT:417

AVO:174



「……『無限神撃』。攻撃を、MPの数だけ倍増させる。ぼくは今の一撃でMPを393消費した。つまり、394回攻撃をヒットさせなきゃ、倒せなかったんだ」


「……おい」


「ありえない。無理だ。今のはボスじゃないだろ、きっと。きっと雑魚キャラさ。RPGで言えば、なんだ? スライムってとこだろ」


「じょ、冗談言うなよ、御木本」


「これは、事実だ!」

 顔中にびっしょりと汗をかきながら、御木本はいう。


「ッ……やばい!」

 その瞬間、拓哉の頭に警告が走る。


「また、敵だ!」

 先ほどの通路の先! また敵の反応が現れる。


「まずい、敵だ、杉山」


「ああーん。なんだよ。また敵か。おれのこのスキルがあれば」


 そして次の瞬間現れる。


 先ほどよりもでかい。身長は3メートルは超える。


「おー。さっきよりは強そうじゃねーか」


「まて、杉山っ!」


 拓哉は怒鳴り声を上げる。



 レベル421

 HP35891

 MP0

 攻:9891

 防:3210

 魔:10

 賢:92

 SP:1221

 HIT:521

 AVO:211


 テ・トロール――

 一体のボスのもとで群れを成して行動する。メスとオスがあり、戦闘能力はオスのほうが高い。すべてのメスは一体とのボスとの間に子をなし、つがいという概念はない。そのため、群れに存在するメスは群れ全体の共有物であり、したがって雌を守ることを最優先に考えて行動する。


 その、トロールが怒号を上げる。つまり、つまりさっきのは……。


「杉山っ!」

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