第3話 謎の紋章と村人たちの視線
村長からの不思議な話を聞いた翌日、レントは村の外れにある古い祠へと向かった。
あの古代の紋章が光っていた場所だ。あの光景が頭から離れず、何か手がかりがあるのではないかと直感が働いたからだ。
祠の扉は長い年月のせいか、朽ちかけていたが、開けること自体は難しくなかった。中に足を踏み入れると、ひんやりとした空気が頬を撫でる。
奥には石碑があり、そこに刻まれた紋章は確かに先日見た光の中心と同じだった。
だが、その紋章は不思議なことに、触れると微かに温かさを感じさせた。
「何だこれ……ただの石なのに」
ふと気づくと、背後から足音が近づいてきた。振り返ると、幼馴染のミサキが立っていた。
「レント、こんなところで何してるの?村長さんの話、もう聞いた?」
レントは村長の話を簡潔に伝えた。ミサキは眉をひそめる。
「そう……あの古文書が消えたのはおかしいよね。村には何か秘密があるのかもしれない」
二人は祠の中で話し合い、村の歴史や伝説について調べることにした。
ミサキは村の古老に話を聞いてみると言い、レントは紋章の謎に集中することにした。
その時、レントの胸に奇妙な感覚が走った。まるで誰かが遠くから彼を見つめているような――。
「気のせいか?」と自分に言い聞かせながらも、心のどこかで緊張が走った。
夕方、村に戻ると、村人たちの視線が明らかに変わっていた。
「お前、やっぱり何か持ってるな」と囁く声も聞こえる。
だが、彼は気にしなかった。むしろ、それが自分の力の目覚めの兆しだと感じていた。
その夜、夢の中で再びあの紋章の光が現れた。
「選ばれし者よ、運命は動き始めた」
目を覚ましたレントは、決意を新たにした。
「俺は、この村の秘密を解き明かし、自分の力を知るまで動かない」
物語は静かに動き出した。
謎の紋章、失われた古文書、そして村を包む影。
彼の冒険はここから本格的に始まるのだった。