第1話 転生者のはずが、ステータス画面が見えない!?
ブラック企業で過労死した高校生・神谷レントは、異世界に転生する。しかし、転生者に必ず表示されるはずの「ステータス画面」が、彼にはなぜか一切映らなかった。レベルはもちろん、スキルも魔力も、何も見えない。神々すら解析不能な“未知の力”を宿した彼は、誰も気づかないうちに、世界の法則の外側で静かに動き始める。
小さな村での地味な生活から始まる彼の物語は、謎の古代遺跡、神話級の力を持つ敵、そして世界の運命を揺るがす秘密へと繋がっていく。
“最弱”の村人のはずが、“最強”の可能性を秘めた転生者の真実とは――?
神谷レントは、辺りが真っ白な空間に立っていた。
「ここは……?」
ブラック企業で過労死した彼が目を覚ますと、見知らぬ空間にいた。目の前には女神と呼ばれる存在が浮かんでいる。
「あなたはこれから、新たな人生をこの世界で始めます」
女神は優しく微笑んだ。だが、神谷はすぐに違和感を覚えた。
「ステータス画面をお願いします」
通常なら転生者は自分の能力やスキル、レベルが一覧できるはずだった。
しかし、空間に何も映らない。
「……見えません」
女神は眉をひそめる。
「あなたのステータスはこの世界のシステムに干渉しており、表示できないのです」
「それって、どういう意味ですか?」
レントの胸はざわついた。
「あなたはこの世界の法則の外側にいる存在。ゆえに、神たちも制御できない“未知の力”を持っています」
「未知の力……?」
その言葉が、胸の奥に小さな火を灯した。
やがてレントは、山間の小さな村に降ろされる。ここで彼の新たな生活が始まった。
村の人々は最初、彼をただの“無能な転生者”と見下した。だが、彼は村の外れの古びた祠で奇妙な光を見つける。
「この光……一体何だ?」
光の中心には、見たこともない紋章が刻まれていた。
その瞬間、レントの胸に微かな熱が走った。
「俺は……ただの村人じゃない」
だがその力の正体は、まだ誰にもわからない。
女神の言葉、消えたステータス、謎の紋章。すべてが今後の物語の鍵となる——