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第1部 プロローグ 

 突然……目の前が真っ暗になった。


 あれ…?私、もしかして死ぬ…?


 ふわ…。体がものすごく軽くなった。いや、軽いなんてもんじゃない。そして下を見ると、私が横たわっていた。私がぐったりと、倒れていたのだ…。


 あれ…?もしかして、私、死んだの?!


「大丈夫ですか?!」

「誰か、救急車!」


 人が私の周りに、集まってきていた。


 ああ、そうだ。私、転落したんだ。駅の階段の上から下まで、ごろごろと…。上まで登りきったとき、誰かに肩を掴まれたような気がした。え?って振り返っても誰もいなくて、バランスを崩し、そのまま落下した。


 死んじゃったの…?あの体に戻れば、生き返るのかな?


 必死で下に行こうとした。でも、私はどんどん意志とは逆に浮上している。


 私を取り囲んでいる人から、少し離れたところに、じっと空に浮かんでいる私の方を見て、たたずんでいる男の人が見えた。黒のジャケット。黒のサングラス。黒の帽子、黒のパンツ。黒ずくめの男の人。でも、私、その人のことを知ってる気がする…。


 その人は、どんどん浮上していく私のことをじっと見ていた。


 人が、ありんこに見えるくらいまで上昇すると、いきなり、すごいスピードで私は、どこかに吸い込まれるように上昇していった。あまりの速さで、周りも見えない。そのうちすごい光に包まれて、目がくらむほどだ。


 光、光、光…。すべてが、光…。無限の光……。


 私の意識も消えていった。消えて光と同化する。自分が無限の光になっていた。


 気持ちが良かった。これほどまでの開放感を味わえるなんて…。人間の体の中に閉じこもっていたときが、ものすごく窮屈に感じられた。


 そのうちに光が薄れてきて、自分という意識が戻ってきた。それから、まず自分の体を見た。体はない。だけど、人型の光になっている。


 周りを見た。あたり1面が、クリスタルのようにきらきらと光っている。そして前方には、大きなスクリーンのようなものがあり、地球が映し出されていた。


「ここ、どこ?」

 口を開いたと同時に、声がした。


「宇宙船の中」

「え?」

 横を見ると、さっきまでいなかったと思うけど、私と同じ、光の人型が立っていた。


「だ、誰?」

「僕は、君だよ」

「え?」

 何がなんだか、さっぱり???


「私、死んだんじゃないの?天国に行くんじゃないの?」

「天国…?ないよ。そんなものは存在しない。それに、君は死んでもいない」

「え?」


「ここに、戻ってきてるだけ…。魂がね」

「戻ってきてる…?」

「思い出せない?地球に行く前、君はここにいた」

「……」

 そういえば、見覚えがある。なんでだろう…。ここを知っていると、どっかで思っている。


 光の人型が近づいてきた。そして、私にそっと触れた。そのとたん、エネルギーが流れ込んできた。あったかい懐かしい、優しいエネルギー。そのエネルギーと、私のエネルギーが混ざり合い同化した。

「あれ?」


 さっき言ってた、僕は君だよっていうのが、わかった気がした。もう、どこからが私で、どこからが相手なのかわからない。

 それから、一気に記憶がよみがえった。


「私…、あなたとここにいて、そして、あの地球に一緒に旅立った」

「思い出した?」

 光の人型は、いつの間にか私から離れていた。


「でも、一緒に行ったのに、なんであなたはここにいるの?」

「思い出したからさ。君より一足先に」

「何を?」

「使命を」

「使命…?」


「思い出せない?」

「地球に行った使命?」

「そう…」

「……」

 使命…。ミッション…。地球を救う。愛と光で包んで、地球を愛の星へと導くこと。


「そう、思い出した?」

「うん。地球でいったら1万年も前に、ここから旅立った」

「うん」

「2012年に向けてのミッションを果たすために」

「そうだよ。そうして、2012年は、もう3年後だ」



「…でも、どうやって、愛で包んだらいいの?」

「それは、君はもう知ってる」

「…知ってる?」


「僕は、今地球にいる。体から魂だけ抜けて、ここに来ることが出来る。君も、もう出来るようになる。だけど、ミッションは地球で人間として行う。じゃないと意味が無い。なぜなら、地球の外側からは、地球に関与してはならないことになっているからだ。だから、君と地球に行き、人間に生まれ変わった。何をこれから僕らがするかも、僕らのDNAに刻まれている。宇宙はすべて完璧に動いている。だから、僕らは人間として、ただ、宇宙の流れに任せ、やってくることをしていったらいいんだ」


「やってくること?」

「それがミッション」

「…?」

「自分から何かしようとしなくても、ちゃんとやってくるんだよ。今回だって、いきなりここに来るように自分からはしむけてないでしょう?」


「も、もちろん。だって、誰かに肩を掴まれて…」

「あ、それは僕だ。その場にいた。いや、今もその場にいる」

「ええ?!あなたがやったの?私、死んでたかもしれないじゃない。そしたら人殺しに…」

「死なないよ。ここに来ることが目的。そうとうなショックがないと、君の魂は君の体から離れられなかった」

「……」


「君はまた、体に戻る。大丈夫。かすり傷一つもしていない。ちゃんと落ちるとき、僕のエネルギーを送って守っていた。ちょっと頭痛と、たんこぶはできてるかもしれないけど」

「その場にいる…?じゃ、目が覚めたら、人間のあなたと会える?」

「そうだね。僕のことが僕だとわかればね」

「わからないの?私…。あなたは私をわかっているのに?!」


「僕が君を知ったのも、数ヶ月前のことだ」

「…それで、なんで私だってわかったの?」

「この宇宙船のスクリーンで見たんだ。それから君に何度かコンタクトをした」

「コンタクト?」


「うん。夢の中で。というか、君が寝ているときに。普段は、君の思考が邪魔をして、なかなか君とコンタクトが取れない。寝ているときが1番、邪魔されないですむ」

「…寝てるとき?」

「きっと、君は夢で僕に会ってるよ」


「ええ?!じゃ、覚えてないだけ?」

「どうかな。覚えているかも…。君は僕のことをもう、知ってるよ」

「し、知ってる人ってこと?」


「さあ、もう、君の体に戻る時だ」

「ま、待って!私の回りの誰かなの?」

いきなり私はまた、光の中にいた。そうして、ものすごいスピードで、今度は落ちていった。


 そして、ムギュ!いきなり、窮屈になり目が覚めた。

「いった~~!」

  頭がずきずきした。


「目を覚ましたぞ!」

  周りにいる人が、いっせいに声をあげた。

「大丈夫?怪我はない?」

  心配そうに、知らないおじさんが声をかけてきた。私はどうにか起き上がり、

「はい」

と、答えた。


 知らないおばさんが、私の鞄を拾って持ってきてくれた。

  そして、そのうち周りの他の人は、徐々に離れていき、私が立ち上がって、

「もう、大丈夫です」

と言うと、みんなその場を立ち去っていった。


「あ!」

 私は、この場に、あの人がいるってことを思い出した。あわてて周りを見回したけど、もうわからなかった。


 誰なんだろう…。そして、私のミッションって、これからどういうことが起きるんだろう?


 体は本当に、かすり傷一つできていなかった。でも、頭には大きなたんこぶができていて、私はずきずきする頭で、家に帰った。


 そして…。その日から、いろんなことが起き出した。でも、まずは、それまでの私のことを説明した方が、いいかもしれない。


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