人生の計画を立てて
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家に着いた。さてさて、残りの一年間をどう過ごすのか、僕の人生において最大最高の決断が今、始まろうとしている。わくわくが止まらない。余命一年と言われてここまで喜んでいる奴がほかにいるか?いないだろうな。僕は最高にクールだ。
「さて、どうしようか」
やりたいことはたくさんある。今まで金が無くてできなかったことを全てやってやる。頭の中から、早くその計画を書き出せと命令が下った。筆が面白いように、机上に置かれたまっさらのノートを埋め尽くしていく。綺麗なものを汚していく様子が恍惚した気分を生む。
だが、その感覚は水に落とした石が、すぐに見えなくなるかのように消え失せた。ノートの二行目を超えるか超えないかぐらいのところで、書くことが無くなってしまった。それを見て、先ほどまでの威勢のよさはどこに行ってしまったのか、いつも通りの陰鬱とした気分になった。
「はは、僕が死ぬまでにやりたいことって、こんだけしかないのかよ」
その半分も埋まっていないノートを見て、自分の人生における夢や希望がほとんど何もないことに改めて気づかされた。
書かれていることは、バイトを辞める、好きな時間に起きる、高価な時計を買う、高価な靴を買う、高価な服を買う、パソコンを買い替える、女を抱く、その程度だった。
車は免許を持っていないから買っても無駄。どうせ一年後にはいなくなるのだから、株や競馬、競艇なんてものもするだけ意味がない。だって増やしたところで意味がないじゃん。どうせ死ぬのに。
こうしていざ、書き出してみると、自分の経験の薄さ、物事に対しての興味の無さを突き付けられている気がして、一層虚しさが増す。
「バイト始めたての高校生でも叶えれるじゃん。僕のやりたいこと」
僕の口から出た言葉が、壁にしみ込んでいくのが分かる。この部屋はもう何年もそういった言葉をため込んでいる。そのせいか部屋はライトで照らされているのにも関わらず、写真をビネット加工したかのような薄暗さを感じさせる。
ノートを机の奥底に隠すようにしまい込んだ。もう思いついたことを、手当たり次第にしていこうと思う。
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