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中国で映画を撮った日本人   作者: 羽渕 定昭
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<江南慕情>の主題歌

<江南慕情>の主題歌


江南慕情  作詞・作曲 羽渕定昭 唄 周文雄・孫静


あなた 追って太湖のほとり

わたし 着ました無錫の街に

小雨にけむる湖は

心を泣かすさみしさを

映すだけ どこにいるのよ

水面に叫び ジャンクに呼べど

あなたは いない

風の便りに わたし汽車に乗るわ


恋を 知って幸せならば

わたし 来ないわ南京駅に

なみだ色したプラタナス

甘えてすがる中山路

想い出は ここに置いてね

耐えてもいいの 離しはしない

あなたと ふたり

今宵唄うわ 雨のサクラハウス

今宵唄うわ ふたりサクラハウス


この曲はシナリオより先に作られた。先ずあらすじを作り、そして主題歌を作り、その歌詞に合わせてシナリオを書いたのです。私はそれまでに<想い出模様>と<ランナー>の2曲を作詞・作曲して、カラオケ映像を作る為にシナリオを書きました。映画は1曲の25倍の長さです。なので同じ手法で25倍分のシナリオを書いたのです。曲の為に作った、言わばカラオケ映画なのです。


 

<江南慕情>の歌詞の2番


 1番の歌詞とカラオケが完成し、私はそれを周文雄に渡し、歌手として歌うことを依頼しました。彼は「私は素人だ。今回は今までよりも大事な映画なのでプロの歌手に依頼すべきだ」と固辞しました。「その代わり、2番の作詞を任せてほしい」と言った。私は「作詞者は私なので採用するかどうかは私が決める。それで良ければ考えてくれ」と言って次の宿題を渡した。

 「2番はヒロインが南京に行くところから始まり、<あなたとふたり 今宵唄うは 雨のサクラハウス 今宵唄うは ふたりサクラハウス>で終わる事」でした。このサクラハウスはK氏が作った南京市の初めてのカラオケハウスでした。元々有った大きなレストランに舞台や、カラオケ設備と照明器具を取り付けて中国風カラオケ店舗に改造したものでした。私が前年に訪中した時に旅行ガイドをしていたK氏のガイドでサクラハウスに入ったのです。

「これ、私の店です」K氏は言いました。

私はこのサクラハウスへの応援歌にもしたかったのです。

 さて、周さんは私の注文に応えて、抜けている所を作詞して来ました。彼は「<南京駅に>の音色がいいだろう。<涙色したプラタナス>の響きもいいだろう。<涙色という色は無いんだよ>と私を説得した。私はそれらのフレーズを採用する事にしました。そして「<耐えてもいいの>のフレーズは意味が分からない」と言いました。すると彼は「これは私達の事なんだ」と言いました。彼は自分なりの複雑な歴史を持っていましたが、私は他人の人生に深くかかわる気がなかったので、深く追求せずに、このフレーズも採用する事にしました。そして「ここまで自分の思い入れが入ったら、自分で歌うしかないだろう」と言って歌手になることを承諾させたのです。




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