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中国で映画を撮った日本人   作者: 羽渕 定昭
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<江南慕情>に出演した人達


<江南慕情>に出演した人達


 <江南慕情>にはたくさんの人達が出演しています。日本からは14人のプロの俳優、素人俳優2人、特別出演1人、そして友情出演、我が社の社員、取引先や関係者の皆さん合わせて約100人です。中国からは特別出演の2人、要人の皆さん10人、シナリオに沿った本人の人達約100人とエキストラ100人位です。その他、中国ではエキストラを認識していない出演者が100人位有ります。私達は中国当局の許可を得て撮影しているのですが、肖像権などが問題になる状況ではなかったのです。現代のハリウッドでは通行人の1人迄俳優でなければならないでしょう。


さて、私はこの手記を書くに当たり、実名を出すべきか迷っています。1部の人は無条件で出しても良いと思われますが、出せる人と出せない人の境界が分からないのです。なので私以外の実名は全て伏せることにしています。もっとも主な登場人物や関係者の名前は映画のテロップで流れています。

ところで、この映画の特徴はどこまでが演技でどこまでが実写なのか分からないのです。日本のプロの俳優の感想です。

「もともと中国の人は通訳を通じて現実の行動をしている。撮影では演出のF氏の指示を通訳を通じて行動をしている。中国の人にとって現実と演技の区別がないのです。どちらがリアルに見えるか明らかです」

そして、それに本当の実写が入り込むのです。ますます、実写か演技か区別がつかなくなります。しかし映画は間違いなくシナリオに基づいて作られています。


シナリオは私が中国を訪問した最後の年、1989年を想定しています。正確には天安門事件が起こる直前の中国を描いています。そして中国ロケは1990年5月1日から9月初旬までの間に行われました。途中、日本でのロケの為1か月程中断しています。天安門事件の影響は撮影許可を出す時の中国側の緊張感が伝わっただけで、それ以外は何もありませんでした。但し、エキストラには困りました。国際色豊かなホテルの大食堂の風景や、ラウンジのダンスシーンが撮れませんでした。

私が前年に見たホテル内の広いダンシングフロアーではあらゆる国の、国を代表するようなドレスで着飾った、あらゆる皮膚の色をした男女が、国際的に知れ渡った曲で、一同にプロの様に上手にダンスをしているのでした。それを一目見ただけで感動しました。そして世界平和を感じました。私は、是非このシーンを皆さんに見せたくてシナリオに書きました。ところが天安門事件の後、世界中が中国観光をボイコットした為、国際色豊かな観光客のシーンが撮れないばかりか、ダンス自体が無くなっていたのです。中国在住の外国人にエキストラを頼み、何とかシナリオ通りに撮影しましたが、肝心の国際色豊かな映像が無く、この部分は残念ながら迫力が有りません。



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