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中国で映画を撮った日本人   作者: 羽渕 定昭
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<江南慕情>の撮影部隊

<江南慕情>の撮影部隊


 私が生まれて初めて書いた詞<思い出模様>に、生まれて始めて曲を付け、それがレコードになった。そしてシナリオを書きプロの映画監督のF氏に付いて撮影に加わりレーザーディスクを作った。2作目は同様にして<ランナー>を作った。爆風スランプのもう1つの<ランナー>の1年前の事だった。レーザーディスクは2作とも納得の仕上がりだった。

「3作目は映画主題歌にする。そして映画にする」

作詞の素養もなく、作曲の素養もない。音楽界も映画界も知らない小さな不動産屋の社長が200名以上を集めたクリスマスパーティの挨拶で宣言したのです。46歳の時でした。話せば長い。しかし時間にして3~4年の出来事です。   小説<ノウテンの街第3巻>で詳しく書いています。小説はフィクションですが、現実はもっと奇なりだったのです。

宣言後、最初に反応したのは妻でした。妻はO女子大を卒業していましたが、1年先輩がN映画会社関係者と結婚していました。妻は主人の計画を知って早速先輩に相談してくれました。

「あらすじを書いてFAXして下さい。会議にかけて見積もりします」

直ぐに先輩の旦那さんから返事が返って来た。私はその日の内に中国ロケのストーリーを考えFAXしました。前日には全く考えてもいなかったシナリオです。1990年1月8日に初出社をすると、年賀状に混じって返事の封書が届いていました。私達が年末年始で休んでいる間に検討してくれていたのです。中身は大体次の様だった。

<検討しましたが、内容がプライベートフィルムになりますので本社では扱えません。子会社を紹介します。金額は3億円になります。プロのシナリオライターによる詳細シナリオは600万円です>

私は<へー、3億円なのか>と思いました。私はそれまで全く予想もしていなかったので、高いとも安いとも思いませんでした。ただ<2億円で作れば1億円の儲けだな、シナリオを自分で書けば600万円の儲けだな>と思ったのです。私は既にレーザーディスクのシナリオを書いていたので、25倍するだけの事だと思ったのです。私はF氏を会社に呼んで、N映画会社の事、あらすじの事を伝え相談しました。

「N映画会社は3億円と言っていますが2億円で出来ますか?」

「私の仕事部分は5000万円です。それに出演者のギャラ、渡航費、ロケ費用などが加わります。有名俳優なら1人1億円の場合もあります。ピンからキリまで有ります。2億円で収まると思いますが、やってみないと分かりません。中国が相手なので予測が付きません」

「すぐに発注する。今からシナリオを書く」

「映画界は3か月前までに契約しないと、スタッフもキャストも揃いません。2か月前を過ぎるとキャンセルはできません。というのは、キャンセルになるともう別の仕事は入らないからです」

「判った。すぐにスタッフを手配して」

「先ず中国ロケの許可がもらえるのか確認が先です。それが出来ないと何も出来ません」

こんなやり取りがありました。その後沢山の方の力を借りて中国ロケの内定が取れて、ロケ隊を組むことになりました。そして監督を誰にするかの話になりました。

F氏は言いました。

「カラオケ映像と違い、映画は肩書を明記します。監督の肩書は絶対譲れません」

私は素人にもかかわらず、図々しく監督になると言いました。そしてF氏には演出と編集を担当して貰いました。スタッフは全てF氏が号令をかけて集めました。中国ロケという未知の世界への挑戦者達でした。その頃は映画業界でも中国で撮影が出来るのか、知る者はいなかったのです。


本稿を書くに当たり、ネット記事を調べると<敦煌>と言う映画が作られていたのを知りました。又、さだまさしも私達より先に中国に撮影に行っていたそうです。当時、その事を知る者はいませんでした。中国は広いので、南京政府の人達も知りませんでした。



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