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中国で映画を撮った日本人   作者: 羽渕 定昭
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ヒロインIの誕生


ヒロインIの誕生


 15人の応募者にはモデル業界から2人、知人紹介1人、劇団関係者から数人、その他から数人でした。知人紹介者は広告業界で自営でした。常日頃,自由な時間で働いているとの事で、2か月の中国ロケもOKとの事なので、個性を買って脇役で採用しました。劇団関係者からは1人採用しましたが、ヒーローとしてはイメージが少し違うので脇役になりました。残念ながらヒーローの該当者はいませんでした。

 ヒロインに決まったIは関西のモデル業界のトップスターでした。私の書いたシナリオのヒロインは35歳の設定でした。F氏の説明では「モデル業界は20歳台が主流なので、30歳代のモデルは、位は上なのだが、あまりモデルとしては使われない。映画界では三船敏郎や高倉健がギャラが高すぎて使われないのと同じです。その為、演技を磨き、俳優として使われることが多い」のだそうだ。

 私はF氏からモデル事務所の写真集を見せられ、Iの写真を見つけオーディションに要請しました。事務所はIの他にもう1人参加させたのです。その1人はIよりも年配でした。もっとも2人とも歳は明かさずでした。写真集に印刷されている歳は印刷年月も不明であり、営業用であって正確ではないのだそうだ。その彼女に驚かされた事が有ります。入口からマイクの所まで颯爽と歩いたのは背の高いモデルそのものでした。ところが座ってみると小さく見えるのです。痩せているので座高が低くなるのかも知れない。しかし歩く姿は高く見える。ハイヒールが特別高い訳ではない。私は気になり質問してみた。

「企業秘密です」が彼女の答えであった。

 

モデルIは中肉中背で健康美であった。彼女にも質問してみた。

「毎日良く食べ、よく眠ります」が返事だった。

私は写真を見て気にいっていたのですが、受け答えに増々満足しました。後日出来上がったメーキング映像を見て、知人の女性から、私は「よだれを垂らしていた」と言われました。

オーデイションの後の審査会議で私はモデルIをヒロインにしたいと言いました。そこに立ちはだかったのが周文雄でした。実はライバルがあることを私も認識していました。その彼女はIより家庭的な魅力がありました。

「彼女の方が優しそうで可愛い。女としての魅力がある。その点、Iは綺麗ではあるが、女らしさがなく冷たそうだ」と言いました。

周文雄と私は単に女性に対する好みを言い合っていただけかも知れない。

「ヒロインは1年間、会社の再建に必死だったのだ。色恋を言っているような場合ではないのだ」

私はIを強く押した。他の審査員からは意義が出なかった。こうしてヒロインIが誕生したのです。




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