宣伝費
宣伝費
宣伝費と言うと、映画を宣伝する費用と思われるでしょう。そうではありません。<江南慕情>は会社の宣伝の為に作ったので、製作費全体が宣伝費なのです。不動産会社の社長が<主題歌の作詞、作曲、脚本、監督までして映画を自費製作する>という宣伝をしたのです。国内ロケでは60人以上の取引先やお客様をエキストラに加えて、映画作りを楽しみました。
映画は初めから映画上映会を1回行うことが目的で、それで完結でした。大きな会場に、取引先や、お得意様、一般の人を一同に集めればそれで良かったのです。製作の過程で当社の取引先が増える事、当社のファンが増える事、そして上映会で作品を見て<この社長に仕事をさせてみよう>と思うスポンサーが2~3人現れたら大成功だったのです。その後作品がどの様に利用されるかは目的外だったのです。
宣伝効果は大きく、完成する前に元は取れていました。ファンになった業者が有益な不動産情報を下さり、私が映画作りに専念している間に、他の社員で映画製作費の2億円以上に利益を出していました。
「これで儲けて製作費の足しにして」が不動産取引の合言葉だったのです。
新聞には数紙に載りました。私は自ら新聞記事原稿を書いて10社以上の新聞社にFAXしました。するとインタビューの申し込みがいくつか来ました。記者の質問は原稿の内容よりも、何の目的か、将来何を考えているか、どんな関係者がいるか、資金の裏付けがあるかに集中しました。つまり、映画の内容よりも、記事を掲載して問題が起こらないかが重要だったのです。インタビューというより面接試験でした。しかし合格すると新聞に載りました。私が用意した原稿とは全く違っていました。