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中国で映画を撮った日本人   作者: 羽渕 定昭
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(株)日中交流センター

(株)日中交流センター


 このセンターは日中経済交流研究会をバックアップする為に作られた会社であり、それを金主的に引き受けたのが不動産会社のO社長です。そしてこの会社の代表者にもなった。H氏は古き友人から様々な依頼を受けていました。この依頼を金銭的に引き受けたのがO氏であった。

1つはシルク工場の株です。あるドイツの株主が株を引き上げることになったのです。その株主はドイツの商圏に役立てる為の商品を作らせる為に出資していたのです。その魅力がなくなった為に引き上げることになりました。その魅力を日本に移すことは考えられませんでした。O氏はその20%の株を純粋に配当だけで引き受けました。私も日本向けのシルク製品の開発が出来ないか一諸に検討もしました。それは日本人向けのサイズや好みに変更する程度では解決できないレベルの問題でした。合弁会社は考えられませんでした。O氏は純粋に配当だけで20%の株を引き受けたのです。事業内容には口出ししない、日中友好が目的の出資でした。

2つ目は南京政府(?)の要請を受けて日本担当職員を数人研修生として受け入れたのです。そして彼らの住まいを一手に引き受けたのです。その中に後に江南慕情の歌詞を中国語に訳した中国職員が含まれていたのです。

3つ目は南京師範大学の話になるでしょう。

視察団の視察ルートの1つに南京師範大学が入っていました。H氏が亡くなった今、どんな経過でルートに入っていたのか分かりません。視察の度に先生と生徒が一緒になって音楽会の歓迎会を開いてくれました。文化交流という言葉では説明できませんでした。目を引く、又は耳を引くものの中にピアノ演奏が有りました。私がテレビで見た世界のトップ奏者の誰よりも早い鍵盤移動でした。おそらく世界にはそんな速い譜面が存在していなかったのだと思います。中国のピアノ奏者は世界に知られていなかったのだと思います。

ところがそのピアノが木製で、木肌のままの年代物でした。小学生の時に見た下駄箱の様なものでした。視察団は心を傷めました。

「新しいピアノを日本から買えば幾ら位になるでしょう」

学長がH氏に相談をしました。調べたら100万円以上かかる事が判りました。中国の庶民の月給が1万円の国です。おそらく大学は買えないであろう。金額を言えば恥をかかせるかもしれない。そこで金額を言わず、O氏が日本製の最新のピアノを無償で寄贈する事を決めました。

目的は日中友好でした。それはその後、日中経済交流研究会の進展に役立ちました。何よりも<江南慕情>の映画の中にその感動のピアノシーンが入っているのでした。おそらく世界を驚かすピアノ演奏のシーンだと私は思っています。

「このピアノ演奏をノーカットで編集出来ないか?」

私はピアノ演奏に感動したので、編集の時にF氏に相談しました。

「無理です。長すぎます」

「余韻として、音だけ次のシーンに残せないか?」

「無理ですね。シーンが繋がっていません」

 残念ながら、それでなくても仕上がりが長すぎるので短縮せざるを得ませんでした。



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