<江南慕情>とシナリオ
<江南慕情>とシナリオ
私は映画やテレビの業界とは無縁な、不動産業界の人間です。たまたま遊びでレーザーディスクのシナリオを書いて制作に携わった経験があるだけです。しかも中国ロケという、当時映画業界でも経験のしていない挑戦をするのです。
そこで私は、現在ある人間関係や経験を全て思い返して、先ず、映画を作る為のシナリオを作りました。そして中国ロケのシナリオ、続いて映画上映会を成功させるためのシナリオを作りました。よく、オリンピック強化選手が表彰台に上がるイメージ作りをすると聞きますが、私は映画が完成し、上映会に中国の要人を迎えて大成功させるイメージ作りをしたのです。そしてそのシナリオを映画のシナリオの中にブレンドしたのです。つまり映画のシナリオの中に映画を成功させる為のシナリオが組み込まれていたのです。
この映画は殆んど現地の実写です。2か所だけ訳アリでそれが出来なかったシーンが有ります。
1つは飛行機が上海空港に到着するシーンです。上海空港の撮影の許可を取っていなかったからです。シーンを抜いても良かったのですが大阪から上海空港に移ったことを示したかったので、別の空港の着陸シーンを使いました。私達は南京政府の許可を得て撮影をしましたが、上海空港は北京政府の管轄だったので撮影が出来なかったのです。、
もう1つは中国にあるラウンジで欧米人と出会って交流するシーンですが、どうしても現地で欧米人を見つけることが出来なかったのです。天安門事件の影響で欧米からの観光客がいなかったからでした。仕方なく大阪に帰ってからF氏の友人のドイツ人を京都から招いて大阪で撮影しました。
この例外を除いて全て、現地で本人に出演を依頼して撮影をしています。限りなく記録映画に近いのです。しかし、祭りの記録を取りに行くようなものでなく、すべてシナリオに基づいて作られているのです。いわば本物の祭りをシナリオに基づいて行っているのです。その1部分を再現するような手法ではありません。
尤も日本人側の多くは俳優を使っています。私としては本人を使いたかったのですが、長期に中国ロケをすることが無理なのでプロの俳優に頼みました。
尚、このシナリオのヒロインとヒーローは架空の人物ですが、複数のモデルをブレンドして作りました。