大地の戦士「ガイア」
外伝出すのが早すぎるって?
気にしないで読んで
2084年 某月 25:39…… 東京 吉立川地区 地下道
「知恵遅れめ……」
「そこまでだ……Dr.ギア、諦めて大地へと還れ……!」
二人の男が深夜地下道で対峙している、しかし研究者風の男は肩で息をしており、スーツはボロボロと、とても戦えそうにない雰囲気だ。
もう一方の全身を覆い被すようなヒーロースーツを着た男はまだまだ元気そうである。
二人の男は何故こんな場所でこんな時間に戦っているのか、それは3年前に遡る……
2081年 某県 山中……
バシャっ……パシャっ……
人里離れたほとんど手付かずの山の中で男が1人、動植物や風景やの写真を変わった形のカメラで撮影している、男は愛でるように動物や植物を眺め、触れ、楽しんでいる。それとは対照的に風景を眺めては哀しそうな顔をしながらカメラを向ける。
男の名前は永倉大地、環境学者でありカメラマンのまだまだ若い男だ、彼は地球環境の研究をしながら、足りない研究費用の為に美しい風景や動植物の写真を撮って生計を立てている、撮影に来たのもこの為だ。
大地は自然を愛していた。ただ興味があったとか、研究内容に一番あっていたとか、そんなレベルではない。
大地の自然好きはライクというよりラブに近いのだ。
大地は幼い頃から三方を山で、残る一方を海で囲まれた田舎で育った、田舎には娯楽が少なかったし、幼い時分は内気だったものだから、放課後はいつも山や海にいっては動植物と触れあい、風景を眺めていた。
大地は自分に寄り添ってくれる自然や地球が大好きだった、幼い頃の唯一の親友だった。
大学に入り、東京に出てくると、大地は驚愕した。
排気ガスと電気まみれのコンクリートジャングル、周りは人だらけ、鍵を締めなければ泥棒に入られる。
田舎の風景しか見たことのない彼にとっては新鮮だった反面、身体的にも精神的にも息苦しかった。
そのまま大学院に進学し、研究に没頭した大地はいつからか研究費用を稼ぐために山に出向いていた。
今日は一稼ぎするためだけでなく、久し振りにソロキャンプでもしようと準備を整えて来たのだ。
「そろそろ、切り上げようかな……」
祖父の形見の懐中時計をチラリと覗き、カメラの頭をそっと撫でた、するとカメラは自動的に蜂の形に変形し、大地のリュックの中に潜り込んでいった。
このカメラは「ビーカメラ」と呼ばれるこの世に1つしかないカメラだ。
大学に入学してすぐ、彼は今井光という親友が出来た。彼は発明家で、自然と科学の融合を研究する為に上京してきたのだという。
光は大地と自然について夜が更けるまで語り合い、時には二人で機械を製作したりした。
大地の20の誕生日の日、光はこのビーカメラをプレゼントした。
ビーカメラは頭の部分を撫でるとカメラから蜂に変形し、充電や戦闘、分析や撮影等を自動で行ってくれる便利なアイテムだった。
大地はこれを大変気に入ったのか、以降山に潜る時はいつも身につけていた。
ビーカメラが無事にリュックに入ったことを確認して、大地は夕食の支度を始めた。
夕日が西の山々に帰っていく頃には夕食の準備は完璧になっていた。
大地は1人で山で食べるカレーがお気に入りで、月に1度はこれを欠かさなかった。
「今度は光も連れて来ようかな……カレー食わせてやりたいし、ビーカメラの性能も見せたいし」
カレーを煮込みながら、独り言をぶつぶつ呟いている。少年の頃から山に籠ると独り言をしてしまう癖は治らない。
お月様がこんばんはの挨拶をすると、大地はランタンを点け、カレーを盛り付けた。
至福の時間がほろほろと過ぎていく。
カレーを食べ終わり、後片付けを済ます。
寝袋を準備し、ビーカメラを呼び出す、今日撮った写真を流し見する。
20分が過ぎた頃、彼は眠りについた。
感想お待ちしておりマクドナルドダブルチーズバーガー