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★Yuki’s point of view2〜これからの未来〜

扉が閉まる音がして、優君が部屋に戻ったのを確認した。

私と小春はテーブルに腰を下ろし、暫し無言で見つめ合う。


私が真っ直ぐ見つめていると、小春が怖気付いたのか目を逸らした。


「マ、ママ?なんか怒ってる?」


「いいえ、やっと優君に打ち明ける事が出来た日に怒ることなんてないわ。ねぇ、小春?これから私が質問する事に真面目に答えてね」


「う、うん……」


「小春は、私が優君に告白されてどう思った?喜んでくれた?」


小春は視線を一瞬だけ私から逸らしてから答えた。


「えっと……お母さんがずっと好きだった人から告白されて嬉しかった……」


「そう……もし私と優君が結婚したら、優君はあなたのお父さんになるわけだけど、嬉しい?」


小春は複雑そうな表情かおを一瞬だけ浮かべるものの、すぐに笑顔になり答えた。


「もちろん、嬉しいよ!!さっきはいきなりだったからビックリしちゃって考えちゃったけど、私はお母さんが幸せになってくれたらそれでいいの」


「はぁ……」


私の娘は、間違いなく私の娘なんだな……と今の答えで改めて認識した。


「ねぇ、小春?『それでいい』って言葉はね?本当は他に考えてる事があるけど、『それにした』つまり妥協の意味を含んでるのは分かってる?」


「えっ……」


「私が優君と結ばれる事を心から望んでるなら『それがいい』って言うべきなの。あなたは私と優君が結ばれる事を本当は望んでないんじゃないの?」


「ご、ごめんなさい。そんな事なくてね、ただ言い間違えちゃっただけなの!!」


「それじゃ、さっき優君が言った時は突然で驚いて答えられなかったって言ったけど、私が尋ねた時もあなた一瞬複雑そうな顔をしたの気づいたかしら?」


「…………」


何も答えられず小春は俯いてしまった。


「ねぇ、小春?お母さんには嘘はつかないで欲しいの。あなたの気持ちを教えて欲しいの」


「ママに嘘なんてついてない!!なんでそんな事を言うの?」


「小春、これは真面目な話なの。あなたのこれからにも関係するのだから。今から何個か質問するから考えないですぐに答えるのよ」


「一つ目、小春は私の幸せを願ってますか?」


「そんなの当たり前だよ」


「二つ目、小春は優君が私と結婚するのは嬉しい?」


「ママが幸せになるんだから嬉しいに決まってるじゃない」


「三つ目、小春は優君がお父さんになるのは嬉しい?」


「……っ、それは……」


「もう……考えないで答えって言ったのに」


「ご、ごめんなさい……」


そう言って、小春は肩を竦めて俯いてしまった。


「別に怒ってないんだから、落ち込まないの。それで答えはどうなの?」


「何でだか分からないけど、優先生がお父さんになるのは嬉しくもあり悲しくもあるの。でもね?何でそんな気持ちになるか分からなくて……」


本当に我が娘ながら手のかかる子だなと、つい苦笑いを浮かべてしまう。


「小春?なぜそんな気持ちになるか自然に気づいて欲しいと思うけど、その時間をあなたに与えてあげる事は出来ないの。だから、私が今から言う事をしっかり聞いてね」


私は小春を真っ直ぐ見つめる。これから私が言う事はとても酷い事だと理解してても、これだけは言わないといけない。


「小春、あなたはね?おそらく優君の事が好きなの。私に幸せになって欲しいけど、優君を誰かに取られるのが嫌なのよ」


「そ、そんな事ない……と思う……」


反論してはいるが、その言葉はとても弱々しい。

私はそんな小春を無視して続ける。


「私はね?もう優君を傷つけたくないの。そして小春にも後悔をして欲しくない。だからよく考えて欲しいの。私は小春が優君を好きになったとしても受け入れるわ。でもね?絶対に譲るつもりはない。もう手に入らないと思ってた幸せを掴むチャンスを逃したくない。私は優君と付き合うつもりだけど、結婚前提についてだけは少しだけ待って欲しいと伝える」


私が優君と付き合うと宣言した瞬間、小春の表情かおが歪んだ。


「ママは、勘違いしているよ。私は優先生の事なんて本当に……」


「小春っ!!」


私はそれ以上の言葉を続けさせまいと、声を荒げた。


「ちゃんと聞いて。私はあなたの初恋が諦めざるを得なかった恋なんて事になって欲しくないの。自分の気持ちに素直になりなさい。私はこれから積極的に優君にアプローチする。あなたも私に遠慮なんてせず優君にアプローチして構わない。でもこれだけは最初に言っておきます。私は雰囲気次第で大人な事もするけど、小春はまだ未成年だからそういうのは親として一切許しません」


私がそう言うと小春の目が見開かれる。


「今ずるいって思ったんじゃないかしら?そう思ったなら私が言った通りあなたは優君に恋してる証拠よ。早く自分の気持ちを理解しなさい。私の方が断然有利なんだから、うかうかしてると何も出来ないまま終わってしまうわよ?」


そう言って私はいやらしい笑みを浮かべる。小春を見れば、拗ねているのがすぐに分かった。


本当はゆっくり自分の気持ちに気づいて欲しかった。でも、勇気を出して告白してくれた優君を待たせたくなかった。

小春が優君に恋してるのは少し前から分かっていた。だって私の娘なんだから……同じ人を好きになったとしてもおかしい事なんてない。

それほど優君は魅力的な男性だ。


優君が最終的に誰を選ぶかは分からない。もしかしたら2人とも選んでもらえないかもしれない。

自分を選んで欲しいとも思うし、それで小春に泣いて欲しくない。

私達はこれからどうなっていくのだろうか……。


全員が納得する未来なんてものは存在しないと思いながら、私は優君ならきっと素敵な答えを見つけてくれると信じてこれから先の未来に胸を躍らせるのだった。

【11月15日 続編開始させていただいております】

ここまでが最初に考えていた内容です。このパートは何と言いますか…設定を明らかにする事を目的に書いていたのだなと再認識しました。雪と小春の関係を特別な形の母と娘にしたかったのですが、辻褄合わない部分は多々あると思います。そこは笑って見過ごしていただければと思います。


シリアス多めになってしまったので、申し訳なく思っております。ここで一区切りとさせていただく事にします。

今後は糖分多めにしたいので、続きは別の作品という形で書いていきたいと思います。


なるべく早く続きを書くように致します。更新が遅いので週1更新とか書きためるとかして工夫して、更新期間が2ヶ月後とかは出来るだけ避けていきたいと考えております。もし、雪と小春の今後が気になるという方がいらっしゃいましたら、これからもどうぞ宜しく致します。


ブクマ・感想・評価・誤字脱字報告をしてくださった皆様、そして読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] とりあえず、結末よかったです。
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