★Yuki’s point of view
『自ら手放してしまった幸せ』と『偶然にも手に入れた幸せ』
どちらの幸せが私の人生をより豊かにしてくれたのだろうか?
もし昔の私が両方の結末を知っていたとしても、きっと今と同じ選択をしているだろう・・・。
成長した彼と再会して一緒に生活を送る日々のせいで、ここ最近の私は年甲斐もなく舞い上がっていた。
小春の悪巧みで二人だけで出かけた事も何度かあった。
中年女が生娘みたいな態度で接していたのを彼は気味が悪いと思っていなかっただろうか?
絶対に望んではいけないと思っていた事が経験できた喜びと、いつかまた失ってしまう恐怖に苛まれて眠れない夜を過ごす事が最近増えてきている。
その事が彼に対する贖罪になっているのではないだろうかと都合の良い解釈している自分自身に嫌気がさす。
「ナツキ・・・」
今はもうこの世に居ない大切な人の名前が思わず溢れてしまった。
あなたが隣に居てくれたら、私はきっとどんな事でも耐えられただろう。
あなたの居ない世界で必死に生きてきたけど、そろそろ限界が近づいてるのが自分でもわかる。
折れそうになる気持ちを何とか抑え込み、私がすべき事を必ず遂行してみせると改めて誓いを立てる。
それが彼の隣に立つ資格のない私の唯一の存在価値なのだから・・・。
時計を見れば、もう5時を過ぎていた。そろそろ起きて朝食の支度を始めよう。
今日から新学期が始まる。もう見慣れたはずの彼の喜ぶ姿を見たくて私はゆっくりと体を起こし始めた。
今回は短めですいません。本来雪の視点は採用する気は無かったのですが、少し予定を変更しました。
雪の心理状況や過去について少しだけ書かせていただきました。情報がまだ足りないと思いますが、それは今後少しずつ書いてまいります!
読んでくださってありがとうございます。ブクマ・感想・評価、とても励みになっております。誤字脱字報告ありがとうございます、本当に助かっております。皆様、これからもどうぞ宜しくお願い致します。




