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みんなでチョイス!ビデオ観賞会

 カレンちゃんは元々この世界の住人ではなかった。発展している私達の世界にはとっても感心を持ってるみたい。


 そんなカレンちゃんのために今日はビデオ観賞会を行うことになった。カレンちゃんを含めた六人……チームセイヴァー第二期の集結!


「やはりこのテレビというものには凄く驚かされたからの。そなたらの選別に期待しておるぞ!」


 そう言いながら今も煎餅を食べながらお笑い番組を見てゲラゲラと笑い声を挙げている。


「先生、とっても楽しそう」

「へへ、そだね」


 うん、平和が一番って感じだよ。

 そんなわけで各々が選んできたDVDあるいはBlu-rayを取り出す。誰がカレンちゃんをもっとも満足させられるか勝負って奴だね!


「じゃあアタシのとっておきのを見せてやるよ」

(あー、アレかぁ)

(まぁアレでしょうね)


 ……案の定、この前私の家に持ってきたホラー映画だ。

 私以外のみんなは震え上がっている。……こんなの、いい加減になれようよ……。

 で、肝心のカレンちゃんはというと。


「……うん?これはなんの映画なのだ?何が楽しいのだ?」


 楽しみ方と言うものが今一わからずにいた。

 そこへ画面のオバケが突然ドアップに。


「うわっ、ビックリしたな!!なんだこいつは?心臓に悪い!この無礼者!!」

「あぁあぁ落ち着いてカレンちゃん!!」

「それはフィクションですよ先生!」


 ……カレンちゃんに暴れられると洒落にならない。強さ的な意味で。

 驚かされるってのもホラー映画の機能的にはあってるかもだけど、単純に驚かされただけっていうか……カレンちゃんも私と同じで、こういうのが怖くないんだろうな。まぁ、カレンちゃんって怖いもののほうが少なそうだし。


「結局何が楽しかったんだ?つまらんモノだった」

「楽しむっつーか恐がるもんなんだよ……。そうだな……肝試しって言や通じるか?」

「……あぁ。あのくっだらない遊びの事か。あんなものをしとる連中の気が知れんわ」


 滅茶苦茶馬鹿にしてる……。よっぽど気に入らなかったみたいだ。


 トップバッターがこれじゃあ幸先が悪いな……。この場を繋げられそうなのは……。

 私は葉月ちゃんに視線を向けた。ニコリと彼女は微笑む。……うん、いけそうだ。葉月ちゃんならきっと上手くやってくれる。日頃から気遣いよくしてくれてるからね。


「ではこれを!!」

「……『男人情桜咲き』……?ナニコレ……?」

「はい!とってもカッコいい男の中の男達が仁義を通すために戦うハードボイルドアクションです!!」

「え、えっと……?」


 困惑していると彩音ちゃんがゲッと驚いていた。


「ヤクザもんじゃねえか……母ちゃんもこういうの好きだから知ってるよ……」

「まぁ!それはお母様と是非ともお話を!!」

「えぇ……」


 ……なんか、また葉月ちゃんに変なキャラがプラスされてしまったような。というかこれはダメでしょ。絶対に悪影響だよ。


 しかし、私と彩音ちゃんで必死に止めたが結局見るハメになってしまった。


「うわわ……こういうの、なんか苦手だ……」


 当然だけど過剰な暴力シーンが多い。これを見て楽しめるなんてちょっと私には早すぎる世界だよ……。けどカレンちゃんはかじりついて見てる……。


「オイオイ……次郎丸がやられてしまったぞ?それなのにこの者は涙のひとつも流さず、非情過ぎではないか?」

「いえ、カレンちゃん。龍さんはですね、次郎丸との約束があるからこそ泣かずに前に進むことを誓ったのですよ!」

「なるほど……。くっ……では我々も泣いていてはいかんな……」

「はい……龍さんの生きざまをしっかりと見届けてください」


 繰り広げられる男の世界。……凄い温度差を感じる。


「……優希もあぁ言うの好きじゃねえの?」

「お話は良いと思うけど……絵面が怖すぎるよ」

「ゴーストとは違った怖さが苦手なのな」

「う、うん……」


 結局最後までカレンちゃんはドはまりだった。私と鞘乃ちゃんは拒否反応が強すぎた。どうしてもグロテスクなのは戦ってた頃の記憶がフラッシュバックしちゃうし、私は単純に暴力が嫌いだし。ましろちゃんは過激すぎて気絶してしまっていた。……仕方ないよ、歳が歳だもん。

 彩音ちゃんは全部見た上でこう言った。「くそつまんねえ」。カレンちゃんに頭をどつかれてた。


「いやぁ、素晴らしかったぞ。ありがとうな葉月!」


 ……まぁ、当の本人は喜んでるし良いか……。


「じゃあ次はましろの出番ですね!」

「ほぅ、そなたの事だ、どうせ子供向け番組の何かだろう」

「馬鹿にしないでです!!というかカレンさんも見た目はドチビじゃないですか!」

「私には色々事情があるの!仕方なかろう!」


 ……カレンちゃんの言うとおり訳アリなんだけど、ましろちゃんの言うとおりでもあって、チビッ子の喧嘩見てるみたいだ……。


 で、ましろちゃんが取り出したのは……可愛くて平和なアニメ作品『ニャーさん』シリーズのひとつだ。


「やっぱり子供向けではないか」

「ぬぅん!そんなこと言ったらニャーさんランドに来ている大人達はどうなるですか!」

「……ニャーさんランドってなんだ」


 ニャーさんランドは、ニャーさんシリーズのキャラクター達が集まるテーマパークだ。多くの人々から愛されている。通称幻想(ゆめ)の国。

 この作品なら楽しめそうだ。でも肝心のカレンちゃんがお気に召すかどうか……。


「……のぅ、これ、面白いか?何か起こらんのか?」

「起こってるですよ。ニャーさんの魚が奪われたり歯が抜けてしまったり」

「かーっ、規模が小さくてつまらん。そんなもんは起こっとるとは言わんよ」


 癒されて良いと思うんだけど……。でも残念ながら彩音ちゃんもカレンちゃんに賛成みたいだ。


「わかる。平和な日常ものってよー、見ててもつまんねえよな~。何にも起きねえもん見て何が楽しいんだっつーか……時間無駄にしてる感じするんだわ」

「それだ!!」

「それだじゃないですよ!!」

「あ、あとましろに勧められてるって考えたらムカつくからアタシは見ねえ」

「酷いです!!」


 結局ましろちゃんの選んだのは失敗に終わる。こればかりは個人の好みだから仕方ないよね。


「でも私はニャーさんシリーズ好きだよ?ましろちゃん、今度一緒に見ようね」

「ほんとですか!?わぁい、優希さんはやっぱり優しいのです!」

「……優希。無理して付き合ってやる必要はないのだぞ?」

「ほんとに好きだってば。ってかどんだけ気に入らなかったの!?」


 けどこのままじゃ不味い。カレンちゃんは今のところ葉月ちゃんの持ってきた作品しか楽しんでない。


(カレンちゃんだって色々大変だったんだ……少しでも楽しい事を知ってほしい……!)


 そう思う私の表情を見て鞘乃ちゃんがにっこりと笑った。


「大丈夫よ優希ちゃん。これでも先生の事は一番詳しいと自負しているわ。私に任せて」

「鞘乃ちゃん!」

「レンタルビデオ屋なんて滅多にいかないから色々と手間取ったけれど、見つけたわ、良さげな作品を!!」


 そして見せた作品が……!


「これよ!『スカー・ウォーズ 獲否蒼弩四(えぴそーどよん)』!!」

「完全にビデオ屋に勧めてもらってんじゃねえかあああああああああああああ!!」


 彩音ちゃんの激しい突っ込みが入った。いや、私も突っ込みたいんだけど!!

 ※スカー・ウォーズシリーズは全世界で大ヒットしている超大作SFモノだよ!


「……あ、でも面白いぞこれ」

(結果オーライ!!)


 流石はスカー・ウォーズ、恐るべし。


 そして最後は私の番だ。大丈夫、トリを飾るに相応しい作品を選んできたつもりだ。


「よし!じゃあ私の作品は――!」

「いやもう良いよ。流石にくたびれたわ」

「……へ?」

「いや全部で何時間見とるんだって。すかーうぉーずとやらも三時間だったしの。もう外は暗いぞ。帰ったほうが良いんじゃないのか」


 ……こうして私の出番はなく、虚しく終わってしまった。




 ***




 優希達は帰っていった。騒がしかったが、やはりみなとおると、楽しかったのだと思う。独りでおるのは慣れとったはずなのに、あやつらと出逢ってからはそうではなくなってしまった。


「ましろもそんなこと言っとったっけの。気持ちはわかるな」


 ふぅ、とため息。寂しさを紛らわすにはやはり何かをしとるのが良い。

 それからテレビ。この世界の事を知れるし、何より何か音があるだけで気は紛れる。


「そう言えば優希の奴がビデオを置いていったな。せっかくだから見てくれと。――ふむ、そんなに私の事を気にかけておるとは。ふほほ、悪い気はせんのぅ。仕方ない、見てやるか!」


 それは一人の少女のお話。少女は家族や友達の支えでひとつの目標を達成するという……優しさに溢れた日常もので……。


「つまらん!」


 やっぱり日常ものはくそくらえだな。見てて退屈だ。


「大体なんだ?主人公周りが優しさに囲まれ過ぎていて、苦労がほとんど無いではないか。こんなもん目標達成出来ないほうがおかしいだろ!」


 平和が一番!な優希らしいと言えばそうだが……少々甘ったる過ぎる。

 鞘乃のすかーうぉーずのがおもしろい。流石は一番弟子だ。一番詳しいというのもあながち間違っとらんかもな。


「……ま、でも、良い話だというのは認めてやるし、主人公の決まり文句は好きだがね」


 周りが主人公に優しい理由もその決まり文句があっての頃だろう。

 物語のクライマックス。今一度主人公が言ったその言葉に私は優希や鞘乃と出逢った時の事を重ねていた。


『君は一人じゃない!』

「ふふ、わかっとるよ」


 私の孤独を救ってくれた友達を想い、初めてつまらない作品で満足できた夜だった。

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