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うろな高校駄弁り部  作者: アッキ@瓶の蓋。
撮影対決5番勝負!の章

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3月9日 2番勝負! 風景の名探偵!?

 3月9日、天候くもり時々晴れ。



 うろな町の海浜公園駅の付近。駅に近いと言う訳では無いが、海を臨めるベーカリー。それが、シャーロックと言うベーカリー店である。

 綺麗な木目の床の室内席に加えて、木で組まれたテラス席もあるこのお店こそが、撮影5番勝負の2番目の舞台である。普段は蓮華さんが運営しているこの場所を、温泉津=ヒューバート=来夏と田中映写の2人が撮影して対決するのである。とは言っても、この勝負は難しい勝負なのだけれども。


「「……」」


 2人は固まったまま、カメラを動かそうとはしなかった。何故かと言えば、そのお店が撮影勝負に向いていない状態だったからだ。


「このお店で風景画対決、ですか? せめて明日にした方が……」

「Yes. このStoreでは、勝負として向いていません。TomorrowにまたRetryする事をProposalさせていただきます」


 そう言われても、この勝負を明日に持ち越す事は出来ないのだ。

 分かって貰うしかあるまい。


 僕はそう言って、水鏡栗花落にルール説明するように目で促した。


「そもそもお前らが撮影勝負に乗るから、いけないんだ。きっかけは2人のサキだったかもしれないが、2人が納得しなければこの勝負はしなかった。だからこそ、君達はどんな条件だろうと勝負して貰わないといけない」


「では、ルール説明を、あなたの望む水鏡栗花落がさせていただきます。10枚撮影して、3枚選んで出して貰い、優秀な方が勝ち。審判は天塚柊人と稲荷山孝人君にお願いしております。では、スタート」


 特別に審査員をして貰う事になった稲荷山孝人君の紹介も無いまま、作業は進んで行く。


「あの~、天塚さん? この勝負の意味は……」


「2人の撮影技術を競うんだ。君にはどちらの写真が素晴らしいかを判定して貰うだけで良いんだ」


 そう、どちらの写真が良いか。重要なのはそこなのだ。


「これって、誰がこの場所を選んだんですか?」


「日向さんだな。ちなみに5番勝負は我々うろな高校学園生活環境部の面々が選んだ物を撮影している。1番勝負は……確か瀬島蒼龍君の案だったな」


「……ただ、道を歩いている俺を審査員に選んだ理由は?」


「通り過ぎようとしているのを見つけたから、勧誘しただけだ」


「脅迫とも言うけどね、あれは……」


 そう言いつつ、稲荷山君は「不幸だぁ……」と言って溜め息を吐く。一応、審査員を引き受けて貰う代わりとして、12月の27日におごって貰った物の自分分の値段は彼に返したんだけどな。一応、割り勘だと思って。

 ちなみに割り勘とは、代金を人数で割って出し合う事では無く、自分が頼んだ分の金額だけ支払う事を言う。僕はそう思いながら、割り勘したんだけれども。


「Yes. 完了しましたよ?」

「こっちも……。一応……」


 そう言って、出来上がった3枚の写真を出す2人。今回は随分と速い。


「どれどれ……」

「はぁ、お金も貰っているし、審査くらいはしないとなぁ……」


 そう言って、僕達は3枚の写真を見る。そして、


「じゃあ、田中君の勝利で良いか」

「海に面したテラス席、良く撮れてるしな。良いんじゃないのか、もうどうでも……」


 と言う事で、田中映写の勝ちになったのだが、田中君も喜ばないし、来夏もくやしがったりしない。当然と言えば、当然だ。


 なにせ、撮影勝負が気乗りしないのだから。


 ―――――――――3月9日、日曜日(・・・)。今日はシャーロックの定休日である。

 寺町朱穂さんより、稲荷山孝人君をお借りしました。

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