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うろな高校駄弁り部  作者: アッキ@瓶の蓋。
孔雀小明の章
85/93

2月17日~2月22日 孔雀小明の日誌

 2月17~22日、天候大雪。

 ――――――孔雀小明の日記――――――


○2月17日○

 今日は昨日と違って大雪が降っているみたいです。水鏡栗花落さんを救うためにこの世界に降り立った私ですが、今すぐ救う事が出来ません。私、孔雀小明は孔雀明王の生まれ変わりと言うか、関係者である。孔雀明王として妖怪や悪霊など悪しき存在に狙われている信者を守らないと行けません。それが孔雀明王としての私の義務であり、私の存在理由なのですから。

 このうろな町には水鏡栗花落さん以外にも、悪しき存在に狙われている者達が居る。多数の精霊と契約している契約者や、力を狙われている巫女などが居ます。その人達も救わなければなりません。私の力を使えばその者達の接点を消す事が出来ます。


 そもそも普通の人達が見えないはずの幽霊や妖怪と言った者達が見える理由は、接点の問題です。常世(とこよ)に住む我々は本来、幽世(かくりよ)の住人である彼らは確認出来ません。しかし稀に、この世との接点が何らかのきっかけによって、近付いてしまったせいで見えるようになる人が居ます。その1人がどうやら水鏡栗花落さんみたいです。

 他の人には守ってくれる人や、自身で対処出来ます。けれども水鏡栗花落さんは自身で対処出来ない。だから私は頑張って、彼女の悩みを解決しなければなりません。


 そう、幽世の住人である彼らから水鏡栗花落との接点を失くすと言う事をしなければならないんです!


○2月18日○

 天塚柊人は動かない。

 天塚柊人はうろな町の住人で、私の居候している家の持ち主です。私以上に水鏡栗花落と親しく、彼女の問題にも気付いているはずだ。だけれども、何もしない。そりゃあ彼がただの一般的な人間である事は知っていますが、けれども何かはして欲しい。そう、彼は問題だけ浮き彫りにして、それを失くすと言う事をしなかったのである。幽世との接点さえなければ水鏡栗花落は幽霊に憑りつかれる事はないのに。


「普通の人間には常世と幽世の接点なんて、外す事は出来ません。だから、僕には何も出来ないんですよ」


 そう言う彼だったが、何故か私の接点を外す事はしない方が良いと言っていた。どう言う事かその時の私には分からなかった。


○2月19日○

「水鏡栗花落と幽霊の接点を外す。それは決して悪い事では無い、けれども良い事では無いように思えるよ」


 と、天塚柊人はそう言った。


「彼女が悪霊と関わっている限りは幸せにはなれません。そのために私は、彼女との接点を孔雀明王として断たなくてはなりません」


「孔雀明王は悩みを失くす明王でしたか。しかし、雪のせいで上手くその能力が発動出来ないとか?」


 それは事実であった。孔雀は温かい気候の鳥です。私は悩みを解決する事は出来るんですが、大雪だと調子が出ません。あらゆる悩みを解決する私が、雪のせいで不完全に悩みを解決する訳にはいきません。それだから雪が降っている今は、悩みを解決するのは止めてるだけで、今でも水鏡栗花落さんの悩みを解決しようと思っています。


「まぁ、解決の仕方をもう少し変えたらどう?」


 その言葉を私はきちんと覚えています。


○2月20日○

 水鏡栗花落を助けるにはどうすれば良いのだろう。私は今でも考える。


○2月22日○

 私は考えました。天塚柊人の言葉を受けながら、何が本当の幸せなのか。けれども幽世と切り離した方が、水鏡栗花落を幸せに出来るはず。


「そう、幽世との接点は切るに限ります!」


「そうなのかな?」


 彼はそれに対して懐疑的でしたが、関係ありません。


 幽世との接点を切り、幽霊や悪霊との憑りつく事は今後一切行わせない。それが私の考える、彼女への救済です。

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