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うろな高校駄弁り部  作者: アッキ@瓶の蓋。
孔雀小明の章
82/93

2月9日 駄弁りと相談

 2月8日、天候晴れ。

 僕が孔雀小明と一緒に家に帰った次の日、2月9日。僕は孔雀小明のために彼岸花のあった場所へと案内しようとしたけれども、妹である弓枝が



『その前にうろな裾野に行って、友達にこれを返して来てくれない?』



 と言われて、うろな裾野へとやって来た。そこに居る友達、蛇籠網(じゃかごあみ)と言う友達に、この本を借りていたらしいのだが。



「これは一体どう言う本なんだか?」



 と僕は改めて弓枝から貰った本を確認する。そこには『闇の中の男達』と書かれた一種の同人誌が書かれてある。内容は話したくない内容なので、言葉にも文字にもしたくはない。



「まぁ、君にも世話をかけてしまい、すまないね」



「い、いえ。だ、大丈夫です」



 孔雀さんにも迷惑をかけてしまって、こちらとしてもすまないとしか言えない。ともかく早めに用件を片付けて置くとするかね。そう思いつつ、僕達が歩いていると、前から1人の少女が歩いて来た。あれは確か……。僕はそう思いつつ、その少女に声をかける。



「もしかして、あなたは……」



「えっと、あなたは……」



 と、考え込むように言う彼女。その彼女に対して、「天塚です」と声をかける。



「天塚さん?」



「あなたは前田雪姫さんでしたっけ? 話は来夏から聞いています」



 そう言うと、「来夏ちゃんの……」と彼女はようやく納得してくれたようである。彼女の名前は、前田雪姫。うろな町に住む、うろな町に引っ越す前から世間的に有名な絵師さんであり、色々と話には聞いている。何か厄介な事情を抱えているらしく、色々とその話も噂として聞いている。



「はぁ……。確かうろな高校で、駄弁り部とかをやっている……」



「まぁ、その程度の認識で構いませんよ。良かったら遊びに来てください。駄弁っただけでも悩みを解決出来るかも知れないから」



「駄弁り? はあ、ありがとうございます。お声掛け下さって」



 「それでは」と僕は彼女と別れる。まぁ、話し込んでも良いんだけれども、今はこっちも用事を抱えているし、それに本当に駄弁ろうと思ったらこんな寒空の下ではなくて、屋根の下で駄弁りたいし。



「あ、あのう」



 と、そんな事を考えていると、後ろから孔雀さんが話しかけて来た。



「駄弁り、とは?」



「駄弁って、悩みを吐き出させる行為。それによって当人の悩みを軽くする行為、って事かな」



 と、説明すると彼女は今まで見た事のないような顔で、



「……それなら、駄弁っても悩みの根本的な解決にはなりませんよ?」



 と言われた。まぁ、そうだけれども。けれども。



「それでも良いんだ。僕は。

 100の重苦しい悩みを1のごく平凡な、くだらない悩みだと思わせる。それが僕の真骨頂だよ」



 と言って、「さぁ、行こう」と促した。その時の彼女の顔は濁ったままだった。

 桜月りまさんより、前田雪姫さんをお借りしました。

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