表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
うろな高校駄弁り部  作者: アッキ@瓶の蓋。
日向蓮華の章
8/93

6月11日 本の貸し借り

 6月11日、天気晴れ

 追加事項;余裕の30度越え

 制服は男女共にブレザータイプ。男子は黒色のズボンとブレザー。青色と黒の斜めチェックのネクタイ。女子は、黒のブレザー。白、黒、赤のチェックスカート。ネクタイは男子と同じ色だが少し短い。それがうちのうろな高校の制服である。



 制服、と言うととある小説を思い出す。

 その小説のタイトルは『人間失敗の人間相談』。主人公、人並比人(ひとなみひびと)は試験を受ければ落ちて、さらに働く気も一切ないダメ人間。そんな彼が通うのはとある学校、私立アヤカシ学園にはその名の通り妖怪達が通っていた。ある日、1人の美少女、『付喪神』の神代喪ヶ(かみしろもも)が話しかけて来た。



「私は人間になりたいです。ですから私は人間をするための相談、人間相談をお願いします」



 そしてそれから比人は妖怪に絡まれる。結婚と子作りを常に要求してくる『雪女』の氷空霙(そらつみぞれ)や、人々になかなか幸せを運べない『座敷童』の夕張花子(ゆうばりはなこ)、そして高校生なのにも関わらず人妻の『うぶめ』の二階堂朝日(にかいどうあさひ)などの人生相談を受けながら、妖怪を人間にするための人生相談をするのであったと言う話である。妖怪好きの人にはたまらない話であり、一部のマニアにバカ受けのしょうせつ。アニメ化もされた人気作である。

 その3巻、アニメ化されるだろうその箇所に制服の話が載っている。高校生にもかかわらず、無類の女と酒好きの『酒呑童子(しゅてんどうじ)』の相馬雅臣(そうままさおみ)が酒を飲みすぎて酔っぱらってしまったせいで妖怪としての能力を使い、女生徒の制服を色々なコスプレに変えてしまったと言う回である。ファンの中では待望のサービス回だと言われている。それを思い出してしまった。



「はぁー……。暑い……」



 あぁ、駄目だ。やっぱり暑い。現実逃避にとちょっと少しばかり制服で論じてみたのは良かったけれども、それでもこの暑さを緩和する事は出来なかったようだ。この部室では冷房は付けてはいけないらしく、暑さで言わせて貰えれば暑い……。そしてこの日に置いてはこれ以上暑く思ってしまう要素がある。



「――――――――さぁ、ど、どうぞよ、読んで下さい」



 と、物凄い気迫を滲ませながら日向蓮華(ひなたれんげ)は本を差し出して来た。マジで暑苦しい……。僕、暑いのとか凄く苦手、なのに。しかもその差し出している本と言うのが問題だ。



 黒色のブレザーを押し上げる胸を、青色と黒の斜めチェックのネクタイが押し付けてる格好の日向は、本を差し出す。この前、霧島恵美(きりしまえみ)のせいで触発されてしまった彼女は、どうも本を貸し借りする事をしたいのだろう。



「よ、よよ、読んで、欲しい……です。そ、それと本も貸して欲しいです。い、いま持ってるので良いので!」



「……」



 これを? 彼女に貸せと?

 ……良いんだろうか? まぁ、今日はこれしか持ち合わせがない物なー。……仕方ない。



「……これ、読んでみる?」



「……は、はひ。ぜ、是非お願いしちゅいまちゅ……」



 何故、噛む?



 そして僕は彼女の本を受け取った。



『女の子のモテるための108の方法』



 ……男の僕にこの本をどう処理しろと?



 ちなみに彼女に貸したのは、なんと言う偶然なのか『人間失敗の人間相談』の1巻だった。ちなみに本を読んでる彼女は「うぅー……」と可愛い女性のページを見つける度に照れていた。女性にはつらい内容だしな、あの本。

 そして6時になって僕達は解散した。











 6時30分、1人僕はあの店で1人の問題児と出会っていた。



「私、水鏡栗花落(みかがみつゆり)は、今日もあなたの望んだとおりの水鏡栗花落ですか?」



 彼女は無表情でそう言い放っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ