2月2日 幽霊の勧め
2月2日、天候くもり。
―――――――人は出会いを求めるために生きている。
何かに出会い、そしてお互いに支え合って生きている。
目の前に現れた、神代と名乗った白い女はそう言った。
『だからね、天塚君。君は逃げてはいけないんだ。
”駄弁り”と名を変えて関係ない風を装っているように見せたとしても、それは”相談”だよ。誰かの心に残る話し合い、それは全て等しく、相談と呼べるんだと私は思うね』
次に目の前に現れた、縁と名乗る黒い女は《カカッ!》と言いつつ、僕の方を見ていた。
《お前はバカだな。もっと素直に言葉に出して良いんだぜ。言葉を出す事を躊躇わず、もっと素直な言葉で表現すべきだぜ! 俺は多くの奴と喧嘩をしたが、そんな事を考えているバカはお前くらいだ。もっと素直に、自分の気持ちのまま生きる事も重要だと思うぜ》
『全くだね。君にはもっと素直さが大切だね。その辺りを磨くべきだと思うよ』
《心と心を合わせて、そして得られるのが本当のダチと言うものだぜ!》
神代と縁の2人は、白と黒の2人の女性は、そう言いつつ僕の事を見て笑っていた。
《まぁ、そんなお前に1つ助言をしといてやろう》
『この町は何か可笑しい。だから、それを止めるために君にはある事を頼みたい。重要な事だ。
水鏡栗花落の身体を借りずに、こうやって君の夢に直接話すくらいだ。とっても重要な事だから、いつものようにサボらないでくれよ』
《何言ってんだよ、神代。この男は良い男だ。少なくとも逃げ出さないと言う面では、オレの下っ端達よりも随分と優秀だ》
『それは言えてるね』と、神代は頷くように言った。
『じゃあ、言っておくよ。別に君じゃなくても良いんだが、うろな総合病院の前に花をお供えして欲しい。彼岸花を。出来る限り多く、2月の終わりまでにだ。そう、本当に多くの彼岸花を病院の前に置いて欲しい』
《そうする事であいつがくるんだ。頼んだぞ》
――――――夢はここで終わりを告げた。