11月16日 頼る私
11月16日、天候曇り。
自宅にて私は手を強く握りしめていた。
「―――――――なんで! なんであの女が今、帰って来るのよ!」
と、私はそう言いながら強く握りしめた手でテーブルを強く叩く。あの女、北風香苗が何で今頃になって帰って来るんですか。
「おねえちゃん、だいじょうぶですか?」
「ううん、大丈夫よ。美枝は気にしなくても良いよ」
そう言って、美枝の頭を撫でる私。
「……でも、拙いわね」
彼女が出て来ると、色々とややこしい。
香苗と柊人が結ばれていると言う事はまずありえない。柊人は香苗の事が好きだが、それはあくまでも憧れのお姉さんと言う意味で好きだと言う事。本当に恋している訳ではない。それに香苗は柊人の事を弟だと思っているみたいですし、恋すると言う事はなさそうです。
「……けれども、彼女の存在は確実に進展を呼ぶ」
彼女の存在によって、この事態は確実に何かは進展する。だから、私は怯えてる。
好転するにしても、崩壊するにしても今の穏やかな関係ではいられない。ならば、私はこれに頼る。
「おねえちゃん、それって、あのおんなからのわたしもの?」
「そう、後輩である所の水鏡栗花落からの渡し物。
―――――――恋愛成就の弓矢よ」