11月5日 霧島恵美の心は雨模様
11月5日、天候雨。
11月、霜月。
10月はまだ暑い日が続いていたような気がしていたが、11月に入るとそのような感じも無くなってきて、寒い北風が葉っぱを風に吹かれたりして、北風が身体を寒くしていたそんな頃。
私、霧島恵美はそんな11月が大嫌いである。
この寒い季節を迎えると、北風と共に私の身体が冷えさせ、私の頭の中の記憶が浮かび上がってしまうのである。
北風香苗。私、霧島恵美と天塚柊人との共通の幼馴染。
私よりも2つほど年上の女性で、うろな町から少し離れた大学に通う大学1年生。
《大人》な人間なのに、《子供》っぽいイメージを出しつつも、時折《大人》な雰囲気を漂わせている―――――――私の大嫌いな女性。
私が《子供》なのに《大人》な雰囲気を出して時折《子供》な一面を出させるのは、ひとえに彼女との対抗である。
―――――――11月9日。
私は頭を痛めてしまっていた。
―――――――何故ならその日、私はそんな彼女、北風香苗さんを迎えに行かなければならないからである。
「……最悪ですよ」
雨の降り続く窓の外を見ながら、私はそう思っていた。