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うろな高校駄弁り部  作者: アッキ@瓶の蓋。
ハロウィンの章
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10月31日F ハロウィン・ナイト~そのページに何を記す~

 10月31日、天候晴れ。

 時はハロウィン当日、場所は海の家ならぬお菓子の家ARIKA。

 水鏡栗花落、清水司、宵乃宮(前田)雪姫、四季恋歌、温泉津=ヒューズベルト=来夏の5人はハロウィンを満喫、ではなくて清水司のお腹の中の子供の事で盛り上がっていた。



「うわー……。お腹が温かいです」



 と宵乃宮雪姫―――――前田雪姫が、清水司さんの少し出ているお腹を触りながら愛おしさの声を込めてそう言う。彼女の格好は真っ白なゴスロリドレスと、頭の上に猫耳のカチューシャを付けた白猫娘の格好である。



「うむ、良い物だな。生命の温かみと言う物は、さ」



 同じようにして真っ白なワンピースと背中の小さな白い翼を生やした小柄な四季恋歌が、司さんのお腹を擦りながらその温かみを嬉しく思っている。



「―――――Yay。今、動きましたね。Soundが良い感じに響いています」



 金色の髪と同じ色合いの猫耳と2本の猫の尻尾を生やした、赤色の服と白いふりふりが付いたサンタ服のような服を着た温泉津=ヒューズベルト=来夏は、耳を司さんのお腹に押し付けて中の音を聞いて、嬉しそうな顔をする。



「お前ら、ちょっとはハロウィンと言う物を楽しめ。……まぁ、お腹の中の子の成長のためにも良いかも知れんがな。ほら、水鏡も来てみたらどうだ?」




 そう言って、清水司は向こうの方で手持無沙汰にしている水鏡栗花落を手招きする。黒の、お腹の子に配慮したようなゆったりとした感じの魔女ドレスを着た清水司は、雪姫、恋歌、来夏の3人に攻められつつ優しげな母親の顔で栗花落を見ていた。



「……それがあなたの望む水鏡栗花落でしょうか?」



 と言うのは、大きな姿見の鏡に真ん中の部分から顔を出したコスプレの水鏡栗花落はそう言う。完全にネタとしか見えない格好だけれども、栗花落は少しずつ近付いていた。



「あぁ、そうだ。4人にもこの月見だんごをあげよう」



 と、司はテーブルの上に載せて置いた手製の月見だんごを4人に渡す。それは形が整ったお手製の感じが漂う、美味しそうな串付きのだんごである。雪姫は朗らかに笑いつつ、恋歌は小さな口で1つずつ味わいながら食べて行く。来夏は天狗仮面に買って貰った月見だんごを、美味しそうに見えるように写真を撮っていた。



「……私は食べられないのですが」



 と、完全に鏡の格好で手を出す事を考えてない格好の状態にしてしまっていた水鏡栗花落は、月見だんごを食べられずに戸惑っていた。仕方なく来夏が近付いて栗花落の口に、月見だんごを入れる。そして栗花落はいつも通りの顔で、「……美味しい」と言っていた。それを見て司は酷く微妙な顔で、小さく「アハハ……」と笑っていた。



「……あぁ、そうでした。是非ともこれを受け取ってくださいな。とある人物からの贈り物ですよ」



 そして来夏に背中のポケットにある部分に入っている物を取るようにお願いする。「Yay、ポケットもEquipmentされているなんてSupriseです」と、来夏は驚きつつもポケットからある物を取り出した。それはアルバムだった。



「……Album?」



 戸惑いつつも、来夏はそれを司に渡す。



「アルバム? これがお前が私に渡したい物なのか、水鏡?」



「正確にはとある神の代理人からの贈り物です」



 「あ、あぁ……」と言いながらも、司はそのアルバムを開ける。そのアルバムのページは真っ白で、何も描かれていなかった。



「……新品のアルバムのようだな」



 と、恋歌が言う。



「その人から一言。

 『そのアルバムに何を記していくか、それが今後の君の楽しみになる事を祈って置くよ』との事です」



「……ふふ。そうか、アルバム、か。良い物だな。あいつも嬉しがるだろう。子供が出来たら、この1冊だけでは足りなくなるくらい取るかもな」



 笑いながら、目に浮かぶその光景を思う司。



「Yay。そう言う事ならば、Cooperationしましょう。皆さん、写真を撮るので並んで下さいな」



 そう言って、デジカメを構える来夏。



「い、良いんでしょうか? 私達なんかが最初の1枚で」

「こ、心の準備と言う物が……」

「これが……あなたの望む水鏡栗花落でしょうか?」



 3人は戸惑いつつ、格好を付けようとしている時、彼女、清水司はこう言った。



「良いんだよ。ありのままの写真を記して行く、それがアルバムと言う物だ」



 そして来夏によって撮られた写真には、



 戸惑いつつも可愛らしい笑顔をする白猫娘の雪姫。そんな雪姫にぎゅっと抱きしめられて戸惑っている天使姿の恋歌。慣れない笑顔で顔が強張っている鏡の栗花落。



 ――――――そしてその真ん中で微笑む、1人の”母親”の姿があった。

 今回の場合は、水鏡栗花落、清水司、宵乃宮(前田)雪姫、四季恋歌、温泉津=ヒューズベルト=来夏です。

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