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うろな高校駄弁り部  作者: アッキ@瓶の蓋。
ハロウィンの章
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10月31日D ハロウィン・ナイト~笑顔の力~

 10月31日、天候晴れ。

 10月31日の真っ黒な闇の中、真ん丸な金色の月が夜空に昇るそんな頃、お菓子の家ARIKAで『DQN's』の大神義愛と瀬島蒼龍の2人は歌を歌っていた。



「愛のー時をー……!」



 『DQN's』の大神義愛は優しい歌声で歌い、それに合わせるように瀬島蒼龍はギターを優しく弾いていた。今日は大神義愛と瀬島蒼龍はそれぞれフランケンシュタインの格好をしていた。

 瀬島蒼龍は黒いセーラー服と茶色のブレザーを着た格好で普通だが、左腕は龍のような鱗が描かれており、額には『G』の文字が刻まれていた。大神義愛はデスメタル調の格好であり、両方の手首には銀色の棘付きの輪っかのアクセサリー、所々が破けた深緑色のジャケットを着ている。



「あなたの手にー……」



 と、美しい声に合わせて蒼龍のギターが奏でられる。そして奏で終わった後、沢山の人達が手を叩いて拍手をして、同じテーブルに居た3人がパチパチと手を叩く。



「兄ちゃん(?)の歌、スゲーな。いや、姉ちゃん?」

「いや、ここは姉ちゃん(?)のギターが凄かったろ? それとも、兄ちゃん?」



 と、真島祐希と皆上竜希の2人が凄いと言っていた。

 真島祐希は緑色の帽子と剣士服を着た剣士の格好である。腰にある新聞紙の剣だけでなく、紙で作った弓を背負っている。本当にどこかの剣士を思い浮かべる格好である。そして皆上竜希は魔法使いのコスプレ。黒いローブを羽織った感じで、頭には黒い魔女帽子を被って、その手には子供っぽい星の杖を持っている。剣士と魔法使いの格好をした彼らは、『DQN's』の2人を賛美していた。

 ……まぁ、男女倒錯劇のように男装の義愛と女装の蒼龍に性別がどちらか分からない状態になっているのだろうな。



「良いね! 良いね! 凄い良い歌だったねー!」



 と、青空海が嬉しそうな顔でそう言う。彼女の格好はピエロ。彩色が高い赤や黄色などを中心にしたピエロ服で、鼻には赤い鼻を付けて顔に星マークを描いている。



「子供達も、他の人達も喜んでいるしー! 商売繁盛で一石二鳥? いや、私も良い歌が聞けたから三鳥!? どちらにしてもありがとうー! 『DQN's』の義愛君! 蒼龍ちゃん!」



 と、満面の笑みを浮かべた彼女は男装姿の義愛と、女装姿の蒼龍に対してそう言う。



「いやー! ありがとうね、海さん! けど、『ちゃん』じゃなくて『君』。ボクはこれでも男性ですし!」



「……私も女性です」



「アハハー! ごめんねー!」



 と、謝罪の言葉を言っているのにも関わらず、彼女は終始楽しそうに笑顔である。そして祐希と竜希に近付いたかと思うと、ポケットから飴玉を取り出す。



「さぁさぁ、いつものあれをよろしくお願いしますわー! ほら、ハロウィン定番のあれ」



「「あっ! トリック・オア・トリート!」」



「はーい♪ 良く出来たし、いたずらされたくないから、この飴をどうぞー!」



 と言って、海は祐希と竜希の2人に飴を渡す。2人は喜んで包み紙から飴玉を取り出して中に入れるが、次の瞬間には驚いた顔で激しく動き回っている。



「「―――――――!?」」



「ハハハー! どう? 海お姉ちゃん特製のサイダー入り飴の御味は? まぁ、120円くらいで買って来た奴だけどね。お菓子の中にもいたずらをしこむ、それがハロウィンの私なりの楽しみ方だよ!」



 キランと輝く歯を見せる彼女に祐希と竜希の2人が怒りの顔で、海を攻撃する。



「やったなー! このー!」

「俺達を舐めるなー!」



 それに対して海は笑いながら、



「おぉ、子供は元気が一番! さぁ、かかって来いよー!」



 と言って笑顔で受けていた。



「……兄さん」



「なんだい、義愛ちゃん?」



 その光景を見ていた義愛が蒼龍に小さな声で呟く。



「……笑顔って、凄いね。あの2人、本当に楽しそう」



 そして、蒼龍も義愛に笑顔でこう答えた。



「あぁ、本当に楽しそうだ。笑顔は人を元気にする力がある。歌も同じだ。そして笑顔で歌えば、もっと人が集まる! だから、義愛ちゃんも常に笑顔を心がけて……!」



「……嫌です」



 と、平坦な声で答える妹に、「アハハー」と笑って「駄目だったかー」と笑顔のまま反省する兄。



「即答されたかー。まぁ、今は彼らを見て和みましょう」



「……ですね」



 歌を歌う兄妹。その日、彼らは歌以上に人を元気にする物、笑顔の力を実感したのだった。

 今回は大神義愛、瀬島蒼龍、青空海、真島祐希、皆上竜希の5人です。

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