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うろな高校駄弁り部  作者: アッキ@瓶の蓋。
日向蓮華の章
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6月3日 エロインな幼馴染

 6月3日、天気晴れ

 一言言わせてもらえるとするならば、俺の知り合いは少し風変わりな人間が多い。あくまでも少し風変わりと言う意味だけれども。そして俺は出来る限りそう言った友達との交流もある程度しておいた方が良いと思っている。友達と言うのはちゃんと交流しないといつしか友達でなくなってしまう。そうならないためにも一定の周期で交流しないといけない。

 だから俺は、ある一定の周期でとある人物と会うようにしている。いや、会えるなら会えるでも良いんだけれども。彼女はなかなか会えないし。



 彼女はいつもとある場所に居るので、俺はその場所に行った。辺鄙な場所にある料理店、凄い美味い料理を作るけれども自己評価が低い店主、葛西拓也(かさいたくや)が料理を作っている店である。美味しいけれどもリーズナブルな値段なので、重宝させていただいている。



「いらっしゃいませ。あっ、柊人君。今日もいつもので良いかい?」



「お願いします。今日も来てますか?」



「あぁ、来てますよ」



 彼はそう言って、指差したテーブルの椅子を指し示す。その先には1人の美少女が本を読んでいた。

 流れるような亜麻色の髪、吸い込まれるような藍色の瞳。100人居たら100人が振り返るような大きな豊満すぎるダイナマイトな胸。モデル体型な彼女は、本を読んでいた。話しかけるのもおこがましいと言いたいような彼女は、絵になるような動作で本を読んでいた。



 そう、『かぐや姫の本探求日和』と言うエロ満載のライトノベルである。



「うむ……。良い物語だわ。ドジっ娘がパンツを出すシーンは良いわね。それにかぐや姫もマジ可愛い!」



 あのライトノベルは確か、かぐや姫の生まれ変わりとされている姫野(ひめの)かぐやが時計ウサギと名乗る少年、三日月(みかづき)うさぎと共に壊れた本の物語を冒険していくと言うライトノベルである。1巻は激しく燃えるような恋をしてしまった雪女、雪兎(ゆう)の物語を正しく直し、2巻では正体を知られてもなお居座り続けた鶴、シラサギを家から出す。そして今読んでいるのは多分、3巻だろう。

 3巻ではシンデレラで、ヒロインの名前は金姫(きんひめ)。彼女はドジッ娘で、ガラスの靴を落とす際に間違えて踏んづけてしまってガラスの靴を分解してしまう。かぐやは色々な街を回りながら、ガラスの靴を直していくと言う話だったはずである。確か3巻に入ってサービスシーンが増えて行って、かなりムフフな展開になっていたはずである。



 そんな本を読んでいる美少女は、ゲヘヘ……と笑っていた。俺はそんな彼女に近付く。そして頭を叩く。



「あいてっ!」



「いつも通りだな、恵美(えみ)



 彼女、うろな高校の2年生、霧島恵美(きりしまえみ)はうぅ……と言っていた。彼女は俺の友達の1人で、見ての通り見てくれは良いがヲタクと言う残念美少女である。



「柊人さんが来てくれるとは嬉しい限りだわ。一緒に話して行きましょう。なにせ、私達はあなたのメインヒロインなのだから」



「どこがメインヒロインだ。お前はエロ担当なのだから」



「どう言う意味ですか!」



 そう言って、胸を抑え付ける彼女だがそれがさらに胸を強調している事は良いのだろうか? それとも気付いていないだけなんだろうか? それがさらにエロい物になっているとは思わないんだろうか?



「しいて言えば、エロインだな」



「それって絶対褒めてないわよね!? ……まぁ、私はメインヒロインなのだから特に何も思わないわ」



「あぁ、お前はメインエロインだ」



「どう言う意味、それ!? とにかくいつものように語り合いましょう。そう、くんずほぐれず」



 そして彼女はがやがやと話し始めた。つーか、くんずほぐれずって……。やっぱりこいつはメインエロインである。

 まぁ、話すのはやぶさかではない。俺は最近の事を話し始めた。



「……へぇ。駄弁り部、解散の危機だったんだ。言ってくれれば私が入ってあげたのに。あはぁん」



「なにが、『あはぁん』だよ。と言うか、君だけは絶対入れない。恵美が入るとうちの部活が男子だらけになるから」



 悔しいことながら、彼女は相当モテる。街や学校を歩けば男性が寄って来る。俺は彼女とは小学校からの付き合いで長いから、彼女の事はどうとも思っていない。彼女は昔から美形だったけど、その興味は男性と女性が冒険する小説が好きだったからな。あの頃のまま、成長していたら考えていたかもしれない。けれども今は完璧なるエロインだからな。何故か彼女はしきりに俺の正式な彼女、つまりはメインヒロインであると言うが俺はそうは思っていない。あれは完全なる彼女の病気だろう。



「まぁ、私はメインヒロインだからその日向さんに嫉妬なんてしないわ。なにせ、私はあなたと出会ったのは小学2年生の時! 彼女とは年季が違うのよ!」



 何故か入学初日にクラスに入って来た2年生をクラスに送り届けてから始まった付き合いだが、そう考えると長い物だな。



「言うなれば、私は幼馴染! メインヒロインとして相応しいわ! なにせ、身体つきも素晴らしいし!」



 うん。幼馴染みたいな関係である事も、身体つきが素晴らしい事も認めよう。だけれどもそれでもメインヒロインにはならないんじゃないんだろうか。



「幼馴染でも1つ歳違い。そして身体つきも良いが、思考がエロい。

 美少女ゲームやラノベだったら、まず間違いなくお色気担当だな。メインヒロインでは無く、メインエロイン」



「だ、か、ら! エロイン言うな!」



 まぁ、こう言う関係も悪くはないかと思う俺だった。

 綺羅ケンイチさんの『うろな町、六等星のビストロ』の設定を借りました。……やっぱり他の人のは難しいですね。

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