10月6日 《水》を育てる
10月6日、天候晴れ。
子守七海は子供を持てなかった女性の恨みの集合体である。そして子守七海はその恨みを果たすために、捨てられた人間の双子の赤ん坊を育てました。
姉である子守水生、弟である子守紫水。そして2人は子守七海によって、すくすくと育てられていった。そして彼女は育てて行ったのだが、やはり妖怪と人間と言うのは成長の速度が明らかに違っていたようである。
「だから、母さんは大人しくして居れば良いのよ。後は私と紫水でやっておくから」
「そうだぜ。俺と水生姉に任せて母さんはゆっくりしていれば良いんだよ」
と、2人はそう言う。
均整のとれた肉体をしている美男美女のカップル。胸も大きく大人な女性の方が既に20歳を迎えている水生さん。筋肉の付いた大人な男と言う感じがする男性の方が紫水さん。そんな2人に気を使われているのが、見た目目つきが悪い幼女にしか見えない母親の子守七海である。今では両親と娘にしか見えなくなっているが、七海はそれでも母親の仕事を全うしようとする。
「洗濯をしないと……」
「それは私がやっておくわ、母さん」
「……。ならば、料理を……」
「俺がやっておくぜ、母さん」
と、いつもそのような事が繰り広げられており、彼女は母親として全然やっていないような気持ちになってしまうのだ。
そんな彼女は【大光寺家】にて酒を飲んで愚痴をこぼしてしまっていた。
「はぁ……私はあの2人に嫌われてるのかしら」
と【大光寺家】にて彼女、子守七海はと言うと酒を飲んでべらんべらんに酔っぱらった状態で愚痴をこぼしつつ、はぁー……と溜め息を吐いていた。
「お母さんのためにこうやって暇な時間を作ってくれる! 良い娘さんと息子さんじゃないですか! 相手を思いやる行為は、メイド道からしても良い行為ですよ!」
「……じゃあ、俺にも欲しいがな。休みが」
「あぁーん! そう言わないでくださいよ! 私はお店で営業するしかないのに!」
コップのグラスを拭きながら大光寺物成がそう言うと、絵理奈さんが慌てて止めてと言う。
「まぁ、子供は知らず知らずのうちに大きくなって行く物よ。私達の子供はまだまだ幼いけれども、そう感じるわ」
「それも親になるって事なんだろうな」
と、子守さんに付き合っていた小林果穂先生と小林拓人先生の2人はそう言いながら、子守さんの肩を抱きながらトントンと叩いていた。そして子守さんは酒を飲んで「スゥー……ハー」と言う。
「時に優しくし、時に諭し、時に道を正す。それこそが子供のためとしてやってたんだけれども。ここまで老後の母親扱いされると……流石に泣くわ……」
そう言いつつ、泣きながら酒を飲む彼女。泣き酒、そして絡み酒な彼女に付き合いつつ、果穂先生と拓人先生はそれに付き合いながら
(と言うか、かなり愛されてるわよね。特に目立った反抗期も無く、それでいて母親の手伝いに対して意欲的なんだから)
(そうだね。まぁ、当の本人はまだまだお世話したい気持ち満載なんだけれども)
と2人はそっと彼女に気付かれないようにそっと囁きながら、七海の子供である水生と紫水の2人に対して携帯で連絡を送るのであった。
それを後で絵理奈さんから聞いた私は、子守七海さんは水生と紫水の2人と―――――――――――強い《母性愛》や《家族愛》を持っているなと思いました。
YLさんの、『”うろな町の教育を考える会” 業務日誌』から、小林果穂先生と小林拓人先生をお借りしました。