10月2日 悪魔でも、一般論的な恋愛談
10月2日、天候雨。
うろな高校2年の階。
うろな高校2年にはとても熱々のカップルが居る。その中心人物である田中映写。うろな高校にて独自に映像を撮り続けている男性だ。その映像は見ている者を魅せる映像技術を持っている。
そして、そんな映像を撮られて魅せられた2人。それこそが宮林咲と霧島早姫の2人である。彼女達2人は少々特殊な生まれをしている。彼女達のそれぞれの母親は違うのだが、父親が同じなのだ。つまり彼らは異母姉妹と言う間柄にある。
運動神経抜群の宮林咲、そして頭脳明晰な霧島早姫。2人は今日も今日とて田中映写に自身を売り込んでいく。
「映写っち! 映写っち! そんな頭でっかちの女なんかよりも私の方がお得だよ! ほらほら、この胸とか良いと思わない?」
「……映写君。どちらが良いかは分かってるはずよ。そこのお子様なんかよりも大人なボクの方が良いよ?」
宮林咲。小柄な体躯ながらも類稀な運動神経の持ち主であり、Dカップと言う大きな胸を持つロリ巨乳な人物。茶髪が可愛らしい『咲ちゃん』。
霧島早姫。霧島恵美とは一切関係ない間柄ながら長身と他を追随させない頭脳の持ち主であり、スラリとしたスレンダーなボディの人物。黒髪が美しい『早姫様』。
2人の《サキ》に魅了されている田中映写はと言うと、
「ちょっと////// や、止めてよ////// 2人とも//////」
物凄く照れていた。無理もない、彼自体はただの一般的な高校生なのだから。
「……いや、そうじゃないかも知れないよ」
と、私の隣に居た水鏡さん、いや、水鏡さんに宿った神代さんがそう言う。
何処となく神聖な感じを漂わせる彼女は、2人の真ん中で照れている田中映写を指差してそう言う。
「確か……彼女達は父親と名前が一緒の同じ、《サキ》の事を聞いてお互いに意識しつつ、話しかけないでいたんだよね?」
そう。
彼女達の父親は、数年前に亡くなってしまったとある有名な俳優だった。そんな有名俳優の血を半分引く彼女達は、お互いに人々を魅了し、そしてお互いに互いの事を意識しつつも、語れない立場にあった。
「そんな彼女を引き合わせたのが――――――いや、繋ぎ止めたのが彼、田中映写だった」
咲ちゃんの方は、中学1年の秋に行われた運動会の映像にて。
早姫様の方は、同じく中学1年の秋に行われた文化祭の劇の映像にて。
自分達を主役として撮られた2つの映像に、彼女達は魅了され、そして恋に、愛に落ちた。
「その結果があれですが?」
と、私は彼女達を指差す。
「ちょっと、早姫! 私の映写っちに手を出さないで! あなたは手垢の付いた台本でも読んでれば良いの!」
「そっちこそですよ、咲。ボクの映写君を誘惑しないでください。無駄な筋トレでその無駄についた胸の脂肪を落として、身長に還元でもすれば?」
お互いに睨み合う2人。とても仲が良いように見えない。
「……まぁ、あくまでも一般的な話だから」
「そうですね」
―――――――ともあれ。
お互いにお互いを意識しつつ、話しかけられなかった頃に比べたら2人は生き生きとしていて、仲良くなっていると言えるのだろうか?
私は2人の《サキ》の恋愛がどちらに転んでも、最後には幸せに終わるよう願うのだった。