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うろな高校駄弁り部  作者: アッキ@瓶の蓋。
天塚弓枝の章
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9月27日 くだらない友達との青春

 9月27日、天候晴れ。少し寒めの模様。

 蛇籠網(じゃかごあみ)。15歳、中学3年生。

 【濡女(ぬれおんな)】と言う蛇体と女の顔を持つ《蛇》の妖怪の血を継いでいる。とは言っても、もはや文献で追いきれないくらい過去に交わっている程度のどんだけ薄まっているんだろうと思うくらい薄い血である。



 当初の濡女の能力のほとんどは薄まってしまい、彼女に残ったのはあまりにも少ない性質。3か月に1回、脱皮してしまう性質。それだけが残っていた。



 ……ちなみにこの蛇の脱皮する性質を見て、昔の人々は蛇は生まれ変わる生物であると思ってしまったらしい。まぁ、あくまでもしょうもない豆知識ですけれども。



 で、蛇籠網さんはスマートで高身長な私の親友である。雨に濡れている訳でも無いのに濡れた腰より短いくらいまで伸びている黒髪。そして大人びた、むしろどこぞの幽霊か思うイメージを持ち合わせているのが私の親友、蛇籠網である。



「……毎年、毎年! 1年に4回も身体の皮がめくれるのを見る私の身にもなってよね。まぁ、私は良いんだけどね! 絶対に良いんだけどね!」



 けれども、彼女の性格はどうしようもない子供っぽい性格なんだけれども。今だって「聞いて! 是非、聞いて!」と目をキラキラさせながらこちらを見る網ちゃん。



「……で、どうしたの? 網?」



「聞いてくれますか……聞いてくれちゃいましたか! 実はね、私も運命の相手が見つかったのですよ、ユミー!」



 ちなみに、ユミーとは私のあだ名である。

 ”弓枝”だから、ユミーと言う……まぁ、どうしようもなく分かりやすいあだ名である。

 と言うか、網に彼女ね……。花より団子、ならぬ花よりアニメと言う感じの、アニメ好きのヲタクである。



 ……そんな彼女にお相手とは……。



「二次元? それとも、創作?」



「ちょっと! 失礼よ! それは別腹よ! それこそ蛇のようにしたたかに、別腹にしているに決まってるのよ!」



 ……決まっているのでしょうか、それは? 常人の私は理解に苦しみます。



「赤井君! 赤井健太君よ!」



「えっと……確かあの人って」



 赤井健太。『アニマチオン』で働く22歳の男性だったんですけれども……。



「歳の差があり過ぎない? 8歳はこの歳は結構きついわよ」



「そう思う? 大丈夫! 愛の前には多少の歳の差なんて問題では無い! 大人になれば、結婚すれば8歳差はあまり意味が無い!」



「だろうけど……」



 まぁ、一過性の流行り病のような物かな……と思っていると、急に考え込んで立ち止まる網。「網?」と呼びかけるも動く気配が無い。仕方なく戻る私。



「どうかしたの? 今日は少し寒いし、冬眠でもしたくなった?」



「……ううん。今思うと、私って幸運だなって思って」



「幸運?」



「うん。だって《蛇》の血の事を話しても、ヲタクな話をしても、ましてや年上男性との叶わないような恋の話をしても、ユミーはちゃんと聞いてくれるじゃん。それって……とっても嬉しいなって」



 そう言いながら、涙を流す網。……全く。



「さっきの話は嘘って事?」



「―――――うん! 良いなとは思ったけど、やっぱりもう少し男性を見てから結婚相手は見つけるよ」



「まだ早いと思うけどな」



「あぁ、言ったな! 女は今が青春なんだよ! それに霧島さんみたいなナイスバディになる可能性だってまだ残されてるし」



「……」



「無言はきついよ! 分かってるけど!」



 わいわいがやがやと、私達はくだらない話で盛り上がる。



 ――――そう、これが《友情》なんだなと噛みしめながら、私は




「ん? 今度はユミーが立ち止まるの? 早く行こうよ、ユミー」



 ―――――最高の友人に会えたことを感謝しながら。

 山田さんの、『アニマチオン・うろな町店』より、赤井健太さんを名前だけお借りしました。

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