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うろな高校駄弁り部  作者: アッキ@瓶の蓋。
温泉津=ヒューズベルト=来夏の章
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9月11日 会話言葉の壁

 9月11日、天候晴れ。

 人間には2種類の人間が居るんだと、日向蓮華は思っていた。自分から行動出来る人と、行動出来ない人。自分は後者だなと日向は思っていた。



 頭の中で沢山思考しつつ、それを言葉に出来なくて戸惑っていた。頭の中で考えた事は出来ていても、それを伝える事が出来ない。良く『頭で考える前に行動出来る人間』と言う人間が居るが、自分は逆である。『頭で考えている内に行動出来なくなってしまう人間』、それが日向蓮華(自分)だと彼女は普通に理解出来ていた。



(あぅ……また言えなかった)



 日向はそう心の中で思う。今日も学校で伝える事があったのだ。そう、先生が将来の話を尋ねた時、日向は心の中でいくつもの可能性を考えていた。自分の思う未来、自分の予期せぬ方向に進んだ場合の未来、全ての未来像を考えて出した結果、彼女はそれを伝えようとしたのだが、それを日向が伝える前に先生は「また今度、聞かせて貰うよ」と言って日向を帰らせた。



(私は決して、考えてない訳ではない。ただただ、伝えるのが遅いだけなのに……)



 いつ、話を切り出して良いか分からない。どうやって自分の想いを伝えれば良いか分からない。それが出来ないのだ。

 学園生活環境部でも、天塚柊人や水鏡栗花落に対して強く物言いできない。しかも、特に霧島恵美に対して強く言う事が出来ない。



(はぁ……)



 咲哉(さくや)このみは、自分は多分、人生を損していると思っていた。彼女は頭で思っている言葉が知らず知らずのうちに、声に出ているのである。それをなんとかしないと、このみはこの先その言葉で他人を傷つけると思っていた。どうにかして直したいと思っているが、このみはなかなかそれが治らなかった。



「悪口で人を傷つけるなんて嫌なのに……。あっ、また言葉に出ている!」



 心の中で思案しているつもりが、いつの間にか言葉に出てしまっていた。その事に対してこのみは溜め息を吐いていた。



(やっぱり女性らしいって言うのは、物静かな大和撫子みたいな娘の方が好まれるよね……)



「私もいつかそんな無口しか取り柄が無いような子になれたらな……」



「む、無口しか取り柄が無い……!」



 このみはギクッと言いつつ、慌てて後ろを向くとそこには涙目の自分と同じ高校1年生の日向蓮華の姿があった。



「わ、私ったらまた……! ご、ごめんね、酷い事を言っちゃって……」



「う、ううん。私が悪いんだよ……人にきちんと言い返せずに、考えるだけの私が悪いんだよ……」



「そ、そんな事はないと思うよ……」



 言葉を言う前に考えすぎて話せない少女、日向蓮華。

 考える前に言葉が出てしまって困っている少女、咲哉このみ。



 会話に悩む2人の少女が出会って、その後意気投合したとかしないとか。

 煙花もみじさんから、咲哉このみさんをお借りしました。

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