9月8日 ようこそ、霧島家
9月8日、天候曇り。
高校2年生で17歳の霧島恵美には、別の街に住む高校1年生で16歳の妹の彩美、かなり歳の離れた5歳の妹、美枝の三姉妹の家族である。この場合の三姉妹の家族とは決して姉妹だけの3人だけの家族ではなく、両親も合わせた5人家族である。そして僕は来夏を連れて、そんな霧島家へと向かっていた。
霧島家は決して大きくも無いし、かと言って小さくも無い。良くも悪くも言えば平均的な中流の家であった。家に着いた僕はインターフォンを鳴らす。鳴らすとけたましい足音を鳴らしながら、扉を開いて恵美が現れていた。
「ようこそ、天塚柊人君? それに温泉津=ヒューズベルト=来夏さん、でしたっけ? 私の家にようこそ」
「お邪魔するよ」
「I'm sorry. 本日は写真を撮りに来ました」
僕は普通に頭を下げておき、来夏はと言うとそう言いながらトコトコと先に入って行ってしまった。好き勝手と言うか、なんて言うか……。
「まぁ、柊人から根ほり葉ほり聞いていたから悪い気にはならないけど、本当だったら怒ったりしても文句は言われないよ?」
「確かにその通りだとは思うわ。じゃあ、入るな」
「えぇ、どうぞ」
そう言って家の住人である彼女の許しを受けて、中に入ると中では既に来夏が写真撮影を開始していた。家の内装ばかりの風景写真で、人物撮影はしていないみたいだけれども。
「いらっしゃいなの、おにいちゃん」
「美枝ちゃんかい?」
僕の裾を掴みながら舌っ足らずの声でそう聞いて来るのは、彼女の下の妹の霧島美枝、5歳。 姉に良く似た流れるような亜麻色の髪、吸い込まれるような藍色の瞳を持ち、5歳児にしては発育が良い。5歳児の平均身長は今は9月で彼女の誕生日からすると106cm程度が普通だったりするのだが、彼女は117cmと他の平均的な5歳児よりも11cmも背が高い。発育良好なのは良いのだが、これが将来的に姉の恵美と同じような将来像を思い浮かべてしまうのは何故だろうな。
「おにいちゃんは、おねえちゃんといんらんで、せくしょなるなおつきあいをしにきたの?」
「よし、今すぐそんな言葉を教えた恵美を殴りに行くかして叱りに行くか」
5歳児になんて言葉を教えてやがる。しかも当の本人は言葉の意味を理解していないくらいの年頃の子供に対して!
「お、おねえちゃんをいじめないで! かていないぼうりょくは、けっこんしてからならば、ぷれいとしてOKだから!?」
「子供とは思えないような説得!?」
どう言う教育を施したら、こんな天然淫乱娘が育つと言うのか!? 絶対に意図的な嫌な臭いしか感じない!
「美枝、それくらいで止めておきなさい。柊人お兄ちゃんが困ってるじゃないの」
そう言って当人が現れると、美枝は「お姉ちゃん!」と言って恵美に抱きつく。懐いているのは良い事なんだろうけれども、懐いている先の人間がとてつもなく悪いんだし。
「大丈夫よ、美枝。私は例え自分の身体があられもない姿にひん剥かれようとも、愛する人のためならばプレイとして受け入れる覚悟はあるわ!」
「いや、そんな事をする気はないし」
「おねえちゃん、はだかになるのはおふろとべっとのうえだけだよ?」
それは間違った知識である。
「恵美さん、すいませんがその場合は、少しその姿を撮らせていただけませんか?」
来夏、お前も乗るんじゃない。
「や、優しくしてね」
「恵美、一度本気で殴られてみる?」
そう言ったら、恵美は「冗談だよ、冗談」と言って普通にさらりとヌード写真を撮る格好になろうとしたため、全力で止めておいた。来夏はその後、あます事無くスタイルの良い恵美の姿を撮影し、美枝とのツーショット写真も撮るのであった。